ペンスとハリス副大統領候補争い
Japan In-depth / 2020年9月23日 23時34分
トランプは人権や軍事に関心が強い方ではないが、経済取引の分野では自分が経験、見識とも歴代米大統領中一位という強い自負がある。従ってその分野で、知的財産の窃盗やテクノロジーの強制移転など、習近平のようなファシストが自分をコケにする事態は許せない。ボルトン回顧録にも、次第に習近平への怒りを高めていくトランプの様子が活写されている。そして言うまでもなく、新型コロナウイルスが、トランプの中共に対する不信を決定的なものにした。
一方バイデン政権の対中政策はどうなるか。
中共の人権蹂躙やルール無視を批判することにおいてはトランプと大差ないだろう。より厳しい言葉を用いるかもしれない。しかし問題は行動である。
ジョー・バイデンは1942年生まれで、11月の大統領選直後に78才となる。30才の若さで上院議員となり、以来半世紀近く、ワシントンの水にどっぷり浸かってきた。
「アメリカ社会、とりわけ警察はいまだ構造的な人種差別に侵されている」といったバイデン発言に対して、「お前はその構造のど真ん中で50年間何をしてきたのだ」との批判が向けられるのも、長い政治家生活に鑑みれば当然だろう。
口だけで実行が伴わない、「ジュージュー焼き音は聞こえるが、ステーキが出てこない」が一般的なバイデン評だった(これは、バイデン自身回顧録に引用しているあるジャーナリストの言葉である)。
オバマ政権で同僚だったゲイツ元国防長官の、「ジョーは過去40年間、ほとんどあらゆる主要な外交安保政策について判断を誤ってきた」というコメントもよく知られている。
立派に響く演説はするが、政策を具体的に形にする力と決断力を欠くのがバイデンの特徴と言える。
▲写真 バイデン大統領候補 出典:Flickr; Gage Skidmore
2011年5月2日、米特殊部隊によるテロ集団アルカイダの首魁オサマ・ビンラディン殺害作戦に当たり、ヒラリー国務長官も賛成して、オバマ大統領が最終的にゴーサインを出したが、バイデン副大統領は、「失敗した場合の政治的コストが大きい」と最後まで反対姿勢を取った。
オバマ政権最大の功績の一つであるビンラディン除去は、オバマがバイデンの助言に耳を傾けなかったがゆえに成ったものである。以来オバマは、バイデンに何ら重要な仕事を委ねていない。
今回バイデンが副大統領候補に選んだカマラ・ハリス上院議員はバイデン以上に統率力を欠く。自身、大統領選に名乗りを上げたものの、極左に迎合しては中間派寄りに立場を修正する振り子のような動きを繰り返して(そのため保守派は彼女を「左翼カメレオン」と呼ぶ)陣営が内部分裂し、結局、予備選が始まるのを待たずして撤退表明に追い込まれた。
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