菅首相のリーダーシップに期待【菅政権に問う】
Japan In-depth / 2020年9月24日 11時0分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・菅内閣が16日に発足して1週間たった。早期解散は遠のいた。
・人事権を振りかざすだけでは官僚機構は動かない。
・菅首相のリーダーシップ次第で、改革が進むかどうか決まる。
菅内閣が16日に発足して早1週間。当初9月末にも解散などと巷間言われていたが、そんな気配はなく、自民党党本部内からも「年内はない」とおおっぴらに声が聞こえる状況になった。しかし、こればかりは誰も分からない。全ては菅首相の胸先三寸なのだから。
「政局大好き」のマスコミからは「支持率が高い今やらねばいつやる」と国民には全く関係ない「ラブコール」?が発せられるが、菅首相はマイペースに仕事をこなしている。
■ 菅内閣の人事
さて菅内閣の閣僚人事にサプライズは無かった。目玉は河野太郎行革相ぐらいのものだろう。縦割り行政の打破を謳っている菅内閣において、どれだけ力を発揮するか注目だ。しかし、筆者は懐疑的だ。霞ヶ関の各省庁の壁はとんでもなく厚い。官僚は省益を守るために動く。したたかかさは天下一品だ。自分たちにとって都合の悪い情報は絶対上にあげない。大臣一人でどうにかなるわけではない。
▲写真 河野太郎 出典:防衛省
組織を動かすには人事権を握ればいい。常識だ。そこで安倍政権は内閣人事局を作った。しかし、いくら幹部の人事を内閣が握ったとしても、大枠は変わらない。結局は内閣がどれだけ一つ一つの政策に真摯に取り組むかどうかで決まる。もっといえば、首相がどれだけ本気になるか、に尽きる。
▲写真 「内閣人事局」看板かけ 平成26年5月30日 出典:首相官邸
■ 安倍政権の実績
第2次安倍政権の功績は1にも2にも、アベノミクスで株価を上げたこと。外交でABEの名前を世界に知らしめたこと、の2つだろう。特に株価を上げ、経済が上向いたことで、高い内閣支持率を確保したことは間違いない。しかし、以前の記事でも指摘したとおり、アベノミクスの3本目の矢である「成長戦略」は不発だったし、安倍氏得意といわれた「外交」でも、安定していたのは日米関係のみで、対中、対韓、対北朝鮮、対露、どれをとっても成果は無かった。そしてあれほどこだわっていた(ように見えた)憲法改正論議も全く進展無しだった。
政権末期は、「モリカケ問題」に始めまり、「桜を見る会」、「黒川元検事長問題」、と政権の驕りばかりが目につき、ある意味レイムダックだった。官僚はそんな内閣に振り回され、改革どころでは無かったと思う。結局、「新型コロナ」が安倍政権にとどめを刺した、ということだ。
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