前政権「負の遺産」の清算を【菅政権に問う】
Japan In-depth / 2020年9月28日 17時34分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
「林信吾の西方見聞録」
【まとめ】
・菅首相、「たたき上げの実務家」という点で高い支持率。
・コロナ禍の今、解散総選挙ではなく、与野党の枠を超えた対策が急務。
・前政権の負の遺産を清算することが、新政権の本当の役目。
菅政権に問う、というテーマで記事を、と言われてもなあ……
このように思っている執筆者は、私一人だけではないような気がする。
安倍前首相の退陣を受けての記事でも簡単に触れたが、この政権は「アベノマスク」に象徴される、失態続きだったコロナ対策の後始末に追われるだけの、言うなれば、火消し役のリリーフではなく敗戦処理の役割のみ期待されているように思えてならない。
敗戦処理、という言い方は少し引っかかる、という向きもあろうかと思われるが、当人が外交や経済政策においては「安倍路線を継承する」と明言し、その上で「まずはコロナ対策」だとしているのだから(就任記者会見などによる)。
ただ、国民からの期待は高い。NHKが実施した世論調査によると、新内閣の支持率は62%に達していた。これは小泉内閣(発足時81%)、鳩山内閣(同72%)に次ぐ数字で、第二次安倍内閣の発足時と比べてもそん色がない。
これは単なる「ご祝儀相場」ではなく、やはり、安倍前総理の長期政権を支えてきた「たたき上げの実務家」であるという点が、高い支持率に結びついたとみて間違いないだろう。とりわけ、安倍政権には点が辛かった女性若年層の支持率が高かった、という結果は注目に値する。
集団就職で上京し夜学に通った、という触れ込みは事実ではなかったと『週刊文春』などで書き立てられたが、当人は「自分の口から言ったことではない」と明言している。苦労話や成功話が「盛られる」のは、よいことではないが、よくあることだ。
これを受けて自民党内では、早期の解散総選挙を望む声も聞かれるとか。
分裂していた旧民主党が再統一を果たして、150人を擁する最大野党として復活したとは言え、枝野代表と菅新総理の人気の差は歴然で、今なら地滑り的圧勝も見込める、という思惑であるようだ。
▲写真 枝野代表 出典:Kim Youngjoon
なにを考えていているのだろうか。
多くの国民が望んでいるのは、早く新型コロナ禍以前の生活に戻りたい、ということで、この時期の解散総選挙など、それこそ「不要不急」である。そもそもコロナ対策は、与野党の枠を超えた、挙国一致の態勢で臨まなければならない。
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