何故出来ぬ、消費税減税【菅政権に問う】
Japan In-depth / 2020年10月3日 10時49分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
「林信吾の西方見聞録」
【まとめ】
・菅内閣、新型コロナ禍への対策として消費税減税が求められる。
・英・独は減税を手早く断行。
・福祉国家の枠組みがある英・独では効果的な支援が可能。
10月から酒税法の一部改正など、厳しい「値上げの秋」になる。
新型コロナ禍がいつ収束するのか、見通しも立たないというのに。
これで政府が倒れないというのも、野党が信用されていないから……で済ませてよい話であろうか。ではなにが問題なんだ、と問われると、さすがに私も答えに窮するが。
政権交代は当面考えにくいとして、新たに発足した菅内閣には、少なくとも前政権の轍を踏むことだけは避けてもらいたい。
具体的には、菅内閣が新型コロナ禍への対策に本気で取り組むというのなら、まずやるべきことは消費税減税だろう。
安倍内閣は10万円の特別給付金や、中小企業向けの持続化給付金などを
「世界に類例のない規模の経済対策」
などと自画自賛していたが、ならばどうして、コロナ禍による失業と貧困が一向に改善の兆しを見せないのだろうか。
実際に英国やドイツなどは、相次いで減税を断行し、国民の苦痛を少しでも和らげようとしている。
たとえば、英国のジョンソン首相は、それまで20%だったVAT(付加価値税)の税率を、飲食業を中心に5%にまで引き下げた。
ちなみに英国のVATは、日本の消費税と大体同じシステムだが、食料品や子供服など、免税品目がかなり多い。したがって、表面上の税率こそ日本の消費税に倍するが、現実の税負担は、なんにでも課税されている日本と比べて、極端に重いということはなかった。
▲写真 ジョンソン首相 出典:Flickr; Number 10
ジョンソン首相に関しては、もうひとつ特筆すべき事柄がある。
7月末の話だが、同首相は記者会見し、感染拡大が始まってからしばらくの間、具体的には2月、3月段階では、新型コロナ禍について、
「知識が不十分で、危機意識も足りなかった」
と率直に認めた。できることはやってきた、と強弁し続けてきた、それまでの態度をあらためたばかりか、
「命を落とした方一人一人を追悼しているし、遺族の皆さんのことをとても気にかけている。そして、政府が行ったすべてのことについて、私が全面的に責任を負う」
と明言した。
ご存じの読者も多いことであろうが、彼自身も感染している。これについても、感染し、たちまち重症化してしまったのは自身の肥満にも一因があったとして、今後は国民の肥満対策にも取り組む、と最後はユーモラスに締めくくった。いや、もちろん真面目な政策提言なのであろうが。
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