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危機管理意識欠ける防衛大臣と記者クラブ

Japan In-depth / 2020年10月10日 12時25分

自衛隊の各部隊、組織が大臣と同じ程度の認識でコロナ対策をしていたら確実に集団感染は拡大するだろう。このような大臣の振る舞いは部隊の士気を著しく落とし、モラルハザードを生む可能性が高い。


この三密状態の「囲み」取材が問題ないならば、会見をわざわざ大会議室に移して行う必要もないはずだ。見方によっては会見はコロナ対策やっています感を演出するだけの、「やらせ」ではないか。そうであれば納税者を欺く行為である。


これでは危機管理官庁である防衛省としては失格だ。これで戦争などの有事に対応できるのか。大臣、大臣官房、防衛記者クラブともに危機管理意識や当時者意識が根本的に欠如している。


あるいはそれまでして防衛省は防衛記者クラブとの馴れ合い状態を維持したいのだろうか。防衛記者クラブは、2018年末にフリーランスの記者の大臣会見参加を認めたが、その後防衛省はセキュリティ体制を確立できていないとして、1年9ヶ月以上も参加を拒否している。その間この問題に対する検討の経緯も公開していない。


筆者は何度も大臣会見でこの件について質したが、いつになったらフリーランスが参加できるかを、未だに明言していない。役所の仕事で「締切」が存在しない仕事は存在しない。仮にこの程度の仕事ができないならばそれは無能だろう。そこまで官僚が無能なはずはない。そうであれば防衛省は防衛記者クラブに忖度してフリーランスが会見に参加して質問することを封じるために、作業をしているふりを延々と続けているのではないだろうか。


また筆者はいぜん防衛記者クラブの問題を書いた。(『防衛記者クラブの「台所事情」何とも厳しい実態』)


防衛記者クラブは各幕僚監部との記者懇談会用としてビール券を購入し、2017年度は34万4960円を計上している。取材対象である自衛隊に現金同様のビール券を渡しているのか、宴会を行ったのか、行ったのであればそれは課業中か課業外か。かつて官庁の裏金問題でビール券が注目されることがあった。ビール券やタクシー券が通貨として役所内で流通していたのだ。懇談会用としてビール券を計上しているのは金銭が絡んだ癒着ではないかと疑いを持たれても仕方ないだろう。


筆者は河野大臣の時代、この件を会見で河野大臣に質し、大臣は事務方に回答させるとしたが、その後半年以上回答がなかったので改めて質問したが防衛省から依然回答はない。この件は記者クラブにも取材を申し込んだが、当時の幹事社はクラブの総会にかけると回答したが、同様に8ヶ月以上返答はない。であれば、回答できないような癒着関係があるということなのではないだろうか。


防衛記者クラブは記者の代表を自認して大臣、事務次官、各幕僚長の会見は、防衛記者会(クラブ)が主催している。記者クラブは会見、レクチャー、取材ツアーなどの取材機会を一手に握っており、記者クラブ非加盟の媒体やフリーランスがそこに入ることを制限しているケースが多い。


だが記者クラブは任意団体で、町内会などと運営形態は実質的に同じと言っていい。報道の代表というのも自分たちが主張しているだけだ。彼らは取材機会を独占することで、防衛省の情報を握っているだけではない。記者クラブ以外の媒体や記者、国民の知る権利から防衛省を守る防波堤の役割も果たしている。


今回のように大臣、大臣官房と癒着して防衛省の危機管理を危うくする「自称報道の代表」の存在は民主国家として異様であり、許されるべきものではない。


トップ写真:記者会見に臨む岸防衛相(2020年10月5日 防衛省) 出典:防衛省 facebook


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