仏、18歳が中学教師の首切断
Japan In-depth / 2020年10月19日 18時44分
そしてこの事件は、悲劇的な出来事として、フランス人の心に深く刻まれていったのだ。だが、フランスにとって悲劇はそれだけではなかった。なぜなら「シャルリー・エブド事件」が起こったことで、「シャルリー・エブド」の(下半身丸出しの状態が描かれている)風刺画が、あたかもフランスの「表現の自由」の象徴のようになったからだ。
その後、当然の流れのようにフランスの教育現場では「表現の自由」を教える授業が行われることになっていく。殺害された男性教師の中学校では4e(日本で言う中学2年生)に、毎年行われる歴史の授業で通常のカリキュラムとなっていた。殺害された教師も毎年「表現の自由」についての授業をすることとなり、この授業の資料として、表現の自由が強調される原因となった「シャルリー・エブド」の風刺画が使われていたのだ。
写真)「シャルリー・エブド」の風刺画 出典)Flickr; Fanden selv
生徒によれば、歴史教師自体はとてもよい教師であったという。声を荒らげることもなく善良にまじめに生徒たちに接し、教師批判の厳しい中学生たちにも受けのよい教師であったようだ。過去にこの教師から「表現の自由」の授業を受けてきた生徒たちも、イスラム教の生徒を傷つけないように配慮が感じられる内容だったと証言している。
今回、問題が起こった10月5日の授業を受けた生徒の証言でも、授業が始まるとき、「これからムハンマドの風刺画を見せるから、ショックを受けてほしくないので、イスラム教徒の生徒は手を挙げて教室を出てもかまわない」と説明しており、イスラム教徒に対する配慮が感じられたということだ。(参考ツイート)
しかし、今年は例年とは少し違った。授業をする約一か月前の9月2日に、「シャルリー・エブド事件」で起訴された14人に対する初公判が開かれたのだ。そこで風刺画がまた掲載されことが影響し、物議をかもしていた。さらに9月25日には、そのことに怒りを感じたパキスタン出身の18歳が「シャルリ・エブド」の元本社近くで男女2人を刃物で襲うという事件が起こったばかりであった。
こういった一連の流れの中で怒りを感じていたクラス内の一人の13歳の少女は、ムハンマドの風刺画を見せる間クラスの外に出ることを拒否し、そのままその様子を見続けた上、家に帰って親に起こった出来事を話したという。(実際はこの少女はそのクラスで授業を受けてなかったことも言われている)
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