仏、18歳が中学教師の首切断
Japan In-depth / 2020年10月19日 18時44分
そこで、その話を聞いた父親が10月5日の夕方、Facebookに動画を上げ、イスラム教徒に対して憎しみを植え付けようとしていると教師の解雇を訴えたのだ。その後、10月8日、親の会のメンバーと共に、中学の校長と面会し教師の解雇を訴えた。その晩、新たな動画を上げて、この中学に抗議することを視聴者に求めたため、その後、中学校に複数の抗議の電話がくるようにもなった。
しかし、それでも状況が何も変わらないことに業を煮やした父親は、10月11日、「授業中にポルノ画像(下半身丸出しの状態が描かれている風刺画)を生徒に見せた」と、警察に訴えた。この訴えを受け10月12日に中学校から教師の聞き取りが行われ、聞き取りが行われたその日のうちに正当な行動をしていたと自負する教師も名誉棄損で親を訴えたのだ。
ある意味フランスの中学校内でこの程度のいざこざはよくあることで、訴えた、訴えられたという話はそこまで珍しいことではない。教師の軽率さを非難する声がなかったわけでもないし、親の過激な行動にまゆをひそめる人もいた。この時点まではそこまで大きな問題になることなく済んだ話だったかもしれない。しかし、ここで一番大きな間違いとなったのは、父親がSNSに動画を載せ、それが拡散され、学校内で起こっているイスラム教にかかわるトラブルが中学校の外にも知れ渡ったことだ。
その結果、動画を載せた家族と面識がなかったにもかかわらず、北西部ノルマンディー地方に住むモスクワ生まれでチェチェン系ロシア人の容疑者アブドラフ・アブイエズヴィチ(18歳)が、わざわざパリ北部にまでやってきて教師を殺害することにつながったのだ。容疑者は、6歳の時に難民として家族と共にフランスに渡ってきたフランス育ちの人物だ。ようやく2020年3月になって正式な滞在許可が下りたばかりでもあった。他の件で警察に名前があがったことはあったが、テロの要注意人物として名前が上がったことがない若者だったという。
しかしこの容疑者は事件当日、問題となった中学校に赴き、中学から出てくる生徒に尋ねて男性教師を特定している。そして教師を見つけ出し殺害したのだ。殺害後は、ツイッターに切断した頭部の写真とともに「異教徒の指導者マクロン(大統領)へ、(イスラム教の預言者)ムハンマドをけなしたおまえの犬の1匹を殺した」というツイートを残している。犯行時、容疑者は犯行当時ナイフとBBガンを持っていたが、駆け付けた警察官の「地面に伏せろ」という指示に従わず、BB弾を警察に向けて発射したため、突撃した警官に9発撃たれて制圧された。(参考ツイート)
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