晴れることなきロス疑惑(上) 再論・「正義」の危険性について その2
Japan In-depth / 2020年10月31日 23時14分
「直接実行犯はどこの誰だか分からないが、動機(保険金、愛人の存在)など状況証拠から見て、被告が主犯であることは疑う余地がない」
というものだったのである。
この裁判官は「疑わしきは罰せず」という、刑事裁判の大原則を理解できていなかったか、マスメディアが広めた「三浦悪人説」に完全に乗せられていたか、もしくはその両方だと決めつけられても仕方あるまい。
被告はもちろん控訴し、98年7月、東京高裁は前述の「疑わしきは罰せず」の「原則に立ち返って、逆転無罪の判決を下した。今度は検察が上告したが、2003年3月、最高裁で無罪が確定する。
こういうことを述べると、
「たとえ殺人犯でも、決定的な証拠がない限りは無罪にしろ、ということか」
などという非難にさらされそうだ。
たしかに、無罪と無実は違うとよく言われるが、これはまさにそのケースだと私も思う。
とは言え。非難がましいコメントを書く前に(書くのはまあ、自由だが)、疑わしきは罰せず、という原則が、どのような論理に裏打ちされているのか、くらいは知っておいていただきたい。
「たとえ100人の犯罪者を野に放つ結果を招こうとも、1人の無実の人間を獄につなぐことなかれ」
これである。
犯罪を犯してもいないのに刑罰を科せられる人が次から次に出たりしたら、最終的には、誰も法の正義など信じなくなる。人々が法の正義を信じない法治国家など、あり得ないではないか。
いずれにせよ三浦氏は、ひとまず自由の身になったのだが、それでもなお、彼を訴追して刑罰を科すことを諦めない人たちがいた。外ならぬロスの捜査当局である。
次回は、その話題を中心に「一事不再理」の話題をお届けする。
(続く。再論・「正義」の危険性について その1)
トップ写真:ロサンゼルス中心部 出典:Wikipedia
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