深刻な東南アジア汚職 女性への性強要も
Japan In-depth / 2020年12月4日 18時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・「世界腐敗バロメーター・アジア」東南アジアの汚職や性的強要が明らかに。
・公的サービスを市民が受ける際に性的強要を受けるケース。
・インドネシア、現役閣僚が逮捕される一方、汚職を潤滑油と見る一面も。
インドネシアやマレーシア、タイなどの東南アジア各国で汚職が蔓延し、深刻な社会問題だとそれぞれの国民が認識していること、さらに金銭の要求に加えて女性に対して性的な行為を強要する事例も決して少なくなく、公権力による国民への構造的な腐敗が現在も色濃く残っていることがこのほどNGOが発表した調査結果によって明らかになった。
ドイツ・ベルリンに本部事務局を置く国際的な汚職・腐敗監視の非政府組織(NGO)である「トランスペアレンシー・インターナショナル(国際透明性機構・TI)」はこのほど2020年の「世界腐敗バロメーター・アジア」を発表し、この中で特に東南アジアのタイ、フィリピン、マレーシア、インドネシアの腐敗・汚職、さらにそれに関連して主に女性が受ける性的強要の事例を明らかにした。
もっとも指摘を受けた各国、特にインドネシアでは「女性への性的強要は問題外で厳しく糾弾されるべきだが、その他の賄賂は一種の社会の潤滑油でそう目くじらを立てなくてもいいのでは」と受け止められているのが実情だ。
TIによる今回の調査は2019年3月から2020年9月にかけてアジアの17カ国約2万人を対象にしたもので、折からのコロナ禍のため電話によって回答を求めたとしている。
■政府が抱える最大の課題が汚職・腐敗
TIの調査対象となったアジア各国から特に東南アジアの国を取り上げてみてみると、国民がそれぞれの政府が抱える最大の問題点が「腐敗と汚職にあると回答したのはインドネシアが91%、タイが88%、フィリピンが86%、マレーシアが72%といずれも高い数字を示している。
その一方で「今後国民の力などでこうした腐敗体質を変えることが可能」と答えたのは、フィリピンの78%を筆頭にマレーシア68%、タイ65%、インドネシア59%となっている。
TIでは「こうした国民の改善に向けた肯定的な姿勢が将来の汚職撲滅、腐敗体制払拭につながる可能性、政府やビジネス界、市民生活の各分野での変化の原動力となる」と前向きな数字ととらえている。
▲写真 インドネシア警察 出典:Wikimedia Commons; CEphoto, Uwe Aranas
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