深刻な東南アジア汚職 女性への性強要も
Japan In-depth / 2020年12月4日 18時0分
■深刻な性的強要という腐敗構造
今回の報告書で注目すべきは東南アジアの主要4カ国(インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン)では公共機関による公的サービスを市民が受ける際、また司法制度の中で女性が「性的サービスや性交を強要されるケース」の存在が指摘されていることだ。
「過去に自分あるいは知り合いが性的サービスの強要を受けていた経験はあるか」という問いかけに対して、インドネシアで18%、タイで15%、マレーシアで12%、フィリピンで9%の回答者が「あった」と回答したのだ。
これは政府機関や地方公共団体などから公的なサービス、手続き、支援、許認可などの段階で女性が「対価として」あるいは「迅速な実行」として「性行為や性的サービス」を求められるケースの存在を示していることを示していることになる。
また男性や性的要求を拒否した女性の場合には「現金」といういわゆる「袖の下」を要求されることが多いという。
インドネシア・ジャワ島東ジャワ州マランで2016年に公務員が一般女性に性的関係を強要したケースがあるほか、2009年と2010年には裁判官が女性被告に対して性的関係強要と金銭要求したケースが報告されている。
また2020年には首都ジャカルタのスカルノハッタ国際空港で航空機搭乗に必要とされる新型コロナウイルスの検査を受けた女性に対して医師が「テスト結果を陰性にすること」と引き換えに性的要求をしたことが報道されたケースもある。
こうした女性の性的被害に対して「被害者に沈黙を強いる社会やもし訴えても裁判の過程で被害状況を細かく詮索されることへの羞恥心、さらに強要されたかどうかの法的証明が難しいこと」などが現実問題として残っているとの指摘もある。
■選挙投票依頼での賄賂
さらにTIの今回の報告書では、選挙の際に投票を依頼するための金銭授受という汚職・腐敗が東南アジアではいまだに「慣習」として残っていると指摘する。
「選挙の投票に際し、金銭を提示して投票依頼を受けたことがあるか」との問いに対してフィリピンとタイの28%が「ある」と回答。インドネシアは26%、マレーシアは7%となっている。
日本でも選挙の際に金銭や物品を渡して投票を依頼することは公職選挙法違反であるが、いまだに違反事例は後を絶たず、候補者の秘書や後援会関係者が逮捕され、連座制が適用されて候補者自身が法の裁きを受けるケースすら続いているのが実態だ。
この記事に関連するニュース
-
中国軍で装備品購入費の水増しや賄賂、根深い腐敗体質…歴代国防相に党籍剥奪処分
読売新聞 / 2024年6月29日 5時0分
-
モンゴルで総選挙実施 与党・人民党、異例の長期政権実現か
産経ニュース / 2024年6月28日 19時8分
-
BRIがインドネシアでトップの座を獲得、2024年フォーチュン東南アジア500で15位にランクインし、業界の優位性をさらに固める
共同通信PRワイヤー / 2024年6月28日 14時50分
-
米商務省、IPEF交渉進展と今後の展望発表、発効に向け大統領選の行方にも注目(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月10日 13時25分
-
フィリピンで警察官が中国人観光客など誘拐、身代金得る―中国メディア
Record China / 2024年6月9日 18時0分
ランキング
-
1NYで人脈構築の小室圭さん、対照的な生活の眞子さんは「ほとんど外出せず」紀子さまが抱える“複数”の不安
週刊女性PRIME / 2024年7月4日 7時0分
-
2実刑判決で「頭が真っ白に」 法廷に両親の涙 静岡バス置き去り死
毎日新聞 / 2024年7月4日 20時58分
-
3「紅麹」サプリ問題、調査中の死亡事例81人に…先月末から5人増
読売新聞 / 2024年7月4日 20時59分
-
4新潟上越市でマンホール点検中の男性死亡 夕方になっても帰社せず捜索、マンホール内で意識不明の状態で発見
新潟日報 / 2024年7月4日 23時40分
-
5「魚民」の大量閉店は“大正解”か。運営企業「モンテローザ」の“稼ぐ力”は他社を圧倒
日刊SPA! / 2024年7月4日 8時53分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)