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コロナと内部被ばく、対策に共通点

Japan In-depth / 2020年12月27日 23時0分

これは福島の内部被曝の実態をはじめて世界に報告したものだ。世界中のメディアが「福島の被曝は問題とならないレベル」と報じ、風評被害対策に貢献した。





これが彼の医学博士の学位論文となった。私はこの論文を高く評価する。それはインパクトファクター47.6という超一流誌に掲載されたからではない。内部被曝に悩む住民を支えるための活動の結果だからだ。





内部被曝検査を立ち上げるのは至難の業だった。その際、中心的役割を担ったのは坪倉医師だった。自衛隊や早野龍五・東京大学大学院理学系研究科教授(当時)らに助けを求め、試行錯誤を繰り返した。





検査開始後は検査に立ち会い、住民の相談に乗ってきた。坪倉医師は「立ち会った検査は10万件、個別相談に応じた住民は数千人を超える」と言う。坪倉医師は、このような行為を「偏見への処方箋」と評する。





福島では子どもは2012年春、大人は2013年夏頃には内部被曝の検出率は、ほぼゼロになっていた。しかしながら、現在も内部被曝検査を継続中だ。毎日新聞のインタビューで、坪倉医師は「『検出されていない』ことを証明すること自体の意味が大きいのです。例えば、福島県内の妊産婦を対象とした調査でも、早産やその他の先天異常は一般的な発生率と比べて変化はない。放射線の影響はないと見ています。しっかり調べて結果を示すことは、前に進むためにとても大切なんです」と答えている。





坪倉医師は「目に見えぬものへの偏見」という点で内部被曝とコロナ感染は共通点があると考えている。目に見えず、感じることも出来ないから、怖いのだ。実態が分かれば、恐怖心は薄れる。内部被曝対策では、ホール・ボディー・カウンター(WBC)を用いて、被曝の程度を可視化することで、住民を安心させることができた。同じことがコロナにも言えるのではなかろうか。





今回のコロナ流行で、彼がまずやったのは、非常勤医師として勤務する「ひらた中央病院」(平田村)の医療・介護従事者680人を対象とした抗体検査だ。予想外だったのは6人(0.88%)が陽性となったことだ。平田村は阿武隈高地の山中に位置する。このような地域までコロナ感染が拡がっていることがわかった。





ひらた中央病院は独自にPCR検査装置も導入している。同院を経営する佐川文彦理事長は傑物だ。東日本大震災以降、私財を投げ打って地域を守ってきた。政府や自治体の支援がなくとも、独自に内部被曝検査(WBC)を導入し、住民に提供してきた(2018年11月4日『高齢化対策と若き医療者の成長 福島からの発信』)。坪倉氏と佐川氏が知り合ったのは、この時にWBCの立ち上げを手伝ったのがきっかけだ。





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