米新政権下、中国対日攻勢強める【2021年を占う!】米中関係
Japan In-depth / 2021年1月1日 14時53分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・政府のコロナ対策、失態重ねた。
・バイデン氏が国防費を削減すれば、中国にとっては重圧が減る。
・今後、中国の対日攻勢激化が予測される。
2021年の日本はまさに国難と呼べる内憂外患に直面するだろう。
まず国内での憂いをみれば、新型コロナウイルスの破壊的な拡散があまりに明白である。
2020年の最後の日に東京都内で記録破りの1300人以上の感染者が出たことが、すべてを象徴している。千葉でも神奈川でもこれまで最多の感染者数が報告された。
日本政府のコロナ対策は失態に失態を重ねた。中国の武漢からの感染者の日本入国を阻まず、厳しい防疫対策をとることを明らかに怠った。
日本政府はさらに人間の移動を制限すべき時期に逆に「GO TO」キャンペーンで国民の移動を奨励して危機を高めた。いかに経済への悪影響を恐れるといっても、けっきょくは感染を増し、経済をさらに停滞させてしまった。こんな状況はまさに国家非常事態である。国難と呼ぶのも穏健すぎるくらいだ。
新しい年の日本は対外的にはさらに険しい情勢に直面することになる。
新しい年の国際情勢の変化はなんといってもアメリカでの新政権の誕生だろう。
民主党のジョセフ・バイデン大統領の新政権が生み出す日本にとっての危機と呼べる状況は、同政権の中国に対する政策からまず派生するといえよう。その展開は国際戦略上の一種の玉突きのような現象が予測されるのだ。
▲写真 ジョー・バイデン氏 出典:Gage Skidmore
トランプ政権は中国に対して全面対決の構えを強めてきた。中国の野心的な対外膨張をすべて抑えるという姿勢だった。中国共産党自体を非合法とまでみなすような強硬な政策だった。
バイデン氏も中国の国際規範を無視した乱暴な対外行動は非難してきた。中国の野心的な攻勢に対して抑止や対決の姿勢もとるだろう。だがトランプ政権ほどの強硬策はとらないという見通しは、すでに現時点でも明確である。中国との協調や共存を求める、とも言明しているのだ。
中国の習近平政権の排除や中国の外交面での切り離し(ディカップリング)まで唱えたトランプ政権は中国を抑止するための大規模な軍事力増強を進めてきた。国防費の大幅な増額を続けてきた。そのことが中国を抑えてきた。
だがバイデン陣営は国防費の削減をすでに唱えているのだ。そうなると中国にとっては巨大な重圧が減ることとなる。
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