米新政権下、中国対日攻勢強める【2021年を占う!】米中関係
Japan In-depth / 2021年1月1日 14時53分
だがアメリカのどの政権にとっても日米同盟の堅持は基本政策である。要は日本の有事にアメリカがどれだけ敏速に強力に米軍を出動させるか、だといえる。この言明だけではバイデン政権が日本の防衛にどこまで強く協力し、中国との武力衝突にもどれほど激しく応じるかは、不明である。トランプ政権のように、そもそも中国との最悪の事態での軍事的な対決や衝突はまったく恐れないという体質はうかがわれない。
バイデン政権がトランプ政権よりも対中軍事抑止の姿勢の度合いは弱く、対決を忌避する傾向は否めない。その傾向が中国の攻勢や対決の構えをこれまでよりも強めることになる危険が高いのである。米中の緊張の緩和が日中の緊張を高めるという皮肉な現実の展望なのだ。
しかしバイデン政権は日米同盟重視の公約を掲げる。日本との防衛面での連帯も強くすることも言明する。自国の防衛費は削ることを語る一方、日米共同の防衛は強化する、と述べる。この背反のようなバイデン政権の態度から予測されるのは日本への防衛努力の増大の要求である。
こうみてくると、日本にとってはバイデン政権の登場で対中抑止の減少による中国の対日攻勢の激化という国難が予測される。とくに懸念されるのは尖閣諸島への侵略や奪取という危険である。その背後にはバイデン政権の日米共同防衛や日本の防衛努力の支援の軽減、さらには日本への防衛負担増大の要求という可能性もちらつく。
こういう状況下では日本が自国の防衛をアメリカに任せきりという姿勢をさらにあらわにすれば、こんどはアメリカ国民が日米同盟への支持を減らすというリスクにもつながる。要するに自国の防衛や安全保障は当然ながら自国が最大の努力をきわめねばならないとういことだろう。
バイデン政権の誕生は日本に対してこんな基本の哲理を改めて突きつけるのだとも総括できるようである。
トップ写真:習近平中国国家主席 出典:ロシア大統領府
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