米新政権下、中国対日攻勢強める【2021年を占う!】米中関係
Japan In-depth / 2021年1月1日 14時53分
南シナ海でのスプラットレー諸島の不法な占拠と侵略的な軍事力強化、台湾やオーストラリアへの恫喝、国内でのチベットやウイグル、さらには香港での弾圧などトランプ政権が激しく糾弾し、制裁措置までとってきた動きへのブレーキが軽くなるわけである。
ではこうした流れが日本にどんな影響を及ぼすのか。
中国の日本に対する姿勢はトランプ政権が登場してからソフトになった。それまで長年、絶えていた日中両国の首脳同士の交流も中国側の態度の軟化で再開した。日本の尖閣諸島海域への中国の武装艦艇の侵入こそ続いたが、軍事攻撃はなかった。中国政府は改めて日本との「戦略的互恵関係」などという政策標語に同意するようになった。
中国の日本へのこの微笑外交は明らかに対米関係の険悪化の結果だった。中国としては超大国のアメリカとの関係が悪くなると、日本への敵対的な姿勢を和らげ、融和や友好を示す。アメリカと日本の両方を同時に敵とはしたくない、できれば日米両国の離反を図りたい、という意図からである。
ただし中国は日本に対して表面では微笑をみせても、実態では日本への批判的、敵対的な政策は変えていない。
日本固有の領土の尖閣諸島の武力奪取の意図、日米同盟への反対による日本の防衛強化策の非難、日本の戦争での軍事行動だけを「残虐」として教える年来の反日教育、中国で活動する日本企業からの知的財産の収奪や政治的圧力、日本人学者などの恣意的な逮捕など、である。
▲写真 尖閣諸島 魚釣島 出典:© 国土画像情報(カラー航空写真)に基づいて作成、国土交通省
中国政府はこうした対日政策をここ数年はかなりの程度、抑制してきた。わかりやすい実例は国営テレビでの反日ドラマの減少や「南京虐殺」などの反日式典への国家主席の参加の保留だった。
中国のこうした日本へのかりそめの友好姿勢がバイデン政権下のアメリカからの重圧が減れば、変わってくる見通しが強いのだ。つまり日本に対しては本来の強硬な政策履行を復活させる、ということである。尖閣諸島への軍事攻勢など、まず最初に激化が予想されよう。
米中両国間の融和が日中両国間に緊張をもたらすという皮肉な三国関係の因果ともいえよう。
そこで気になるのはバイデン政権が日本に対してはどんな政策をとるか、である。
バイデン氏は菅義偉首相との11月12日の電話会談で「尖閣諸島には日米安保条約第5条が適用される」と言明した。第5条とは日本の施政下にある領域が他の国家からの軍事攻撃を受ければ、米軍が日本側と共同して防衛にあたることを規定した同条約の最重要条項である。日本側の懸念をくみとってのバイデン氏の言葉だった。
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