トランプ弾劾裁判2月頭開始
Japan In-depth / 2021年1月26日 15時13分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2021#4」
2021年1月25-31日
【まとめ】
・バイデン米新大統領の就任式、厳戒態勢下行われた。
・トランプ前大統領の弾劾裁判は2月8日の週に始まる。
・弾劾成立には共和党議員17人の賛成が必要だが、予断許さず。
先週20日に行われたバイデン新大統領の就任式は実に異様だった。議会議事堂から見下ろすモールは黒い金属メッシュのフェンスで覆われ、立ち入り禁止となった。25000人もの州兵が配備され、各地にチェックポイントが設置された。「まるでバグダッドのグリーンゾーンの如き厳重警備だ」とある米識者は語ったが、冗談じゃない!
グリーンゾーンではスチール製フェンスなど全く役に立たない。弱く軽すぎて自動車爆弾を阻止できないからだ。本当のグリーンゾーンは、恐らくトランプ前大統領が夢に見たであろう、高く分厚いコンクリート製の巨大な壁で覆われている。それでも、反米勢力が郊外から打ち込んでくるロケット弾の着弾だけは阻止できなかったが・・・。
それはともかく、就任式から一週間。トランプさんは一体今、どこにいるのか。CNNばかり見ていると、バイデン新政権は、まるでトランプ政権の4年間を黙殺するかの如く、矢継ぎ早に新政策を打ち出している。勿論、トランプ氏の影は今も見え隠れするのだが、どうやら連邦議会も、「ポスト・トランプ」に向けて動き始めたようだ。
▲写真 就任式を前に警備する州兵たち 出典:Spencer Platt/Getty Images
トランプ前大統領の弾劾裁判は2月8日の週に始まるという。ロイターなどは、「共和党議員の間で亀裂」が深まり、「弾劾賛成派と反対派がメディアで公開論争」などと報じているが、それは半分希望的観測だろう。弾劾成立には共和党議員17人の賛成が必要だが、まだまだトランプ氏の力を恐れる共和党議員は少なくないからだ。
先週もう一つ気になったのが中国の動きだ。国営メディアは全人代常務委員会が中国海警局の任務や権限を定めた「海警法」を可決したと伝えた。「中国が管轄する海域に違法に入った外国の船舶を強制的に排除したり、差し押さえたりする権限」を与え、「停船命令や立ち入り検査に従わない場合は武器の使用も認める」という。
更に、報道によれば、「中国が管轄する海域や島などに外国の組織や個人が設けた建造物なども強制的に取り壊せる」権限も与えるのだそうだ。早速某テレビ局から説明を求められた。「海警局」とは中国の海上法執行機関であり、米国の沿岸警備隊や日本の海上保安庁に相当する機関。そのくらいは、誰でも知っているだろう。
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