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「公助しない」政治家は税金泥棒(下) 「引き際」について 最終回

Japan In-depth / 2021年1月29日 23時37分

「公助しない」政治家は税金泥棒(下) 「引き際」について 最終回




林信吾(作家・ジャーナリスト)





「林信吾の西方見聞録」





【まとめ】





・ポストにより「国債」への発言立場を転向した麻生氏。





・現在のような「国難」に際しては財政よりも公助を優先すべき。





・同じ過ちを繰り返す政治家は、存在そのものが害悪と言われても仕方ない。









「あなたのために、ご子孫の借金を増やして行くということなのか、と言ったらどうか」





生活に困窮し、政府に助け(具体的には給付金)を求めている人たちに、なんと答えるつもりかと問われた際の、麻生太郎・財務大臣の答えがこれであった。





安倍政権時代に国民一人当たり10万円の給付金を配り、それを含めて107兆円の財政出動がなされ、当人はこれを、「世界的にも例のない支援策」などと自画自賛していた。





総人口で日本の半分程度のドイツが、日本より半年も早く、日本円にして70兆円を超す経済対策を行っていたことや、日本でアベノマスクが配布されていたのとほぼ同時期に、米国トランプ政権は国民一人あたり1000ドルの給付金を拠出済みであったことを知らなかったのだろうか。





前首相はこの際ひとまず置いておくが、麻生財務大臣の発言の趣旨は、これ以上国の借金を増やすと財政が破綻する恐れがある、ということのようだ。つまり彼は、財務官僚の多数派や、財務省べったりの主流派エコノミストと同様、「日本の財政は危機的状況にあり、このままでは破綻する」という、財政破綻論者だったのであろうか。とんでもない。





内閣総理大臣だった当時、具体的には2008年9月から翌09年9月までのちょうど1年間だったが、その在任期間中に、不況(世にいうリーマンショックの時期であった)対策として1人1万2000円、18歳以下と65歳以上には2万円の定額給付金を支給した。これとて「国の借金」であるはずだが、彼はこうのたまったのである。「国の借金が増えると(国債の)金利が上がって財政が破綻すると財務省は言っているけど、金利はむしろ下がっている。おかしいと思わないほうがおかしい」





こんなことも言っていた。「(国債発行残高)は、国の借金ではなく政府の借金。貸しているのは皆さん(国民)。だから、今すぐ返せと言われたら(紙幣を)刷って返せばいい」お分かりだろうか。自分が政権担当者だった時には、国債の大部分が国内で購入・償還されている以上、すぐに財政破綻などするはずがない、という立場をとっていたのだ。





その後2009年の総選挙で敗れて自民党は野党となり、民主党政権を経て2012年に政権を奪還、第二次安倍内閣の誕生となるわけだが、この過程で麻生氏は、財務官僚の多数派=財政破綻論者にすっかり取り込まれてしまっていた。





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