仏、「肉抜き」給食で論争に
Japan In-depth / 2021年2月27日 17時49分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランスUlala の視点」
【まとめ】
・リヨンで学校の食堂に一時的に肉を出さないことが決まり、論争に。
・一部の大臣はイデオロギーに基づいた決定だとして批判。
・個人の「食」の概念に対し、複数の問いが突きつけられた。
先週フランスでは、リヨンで学校の食堂に一時的に肉を出さないことが決まり、各方面から大きな反発を受けた。「緑の党」所属のグレゴリー・ドゥセ市長は、政府から課された新型コロナウイルス対策の規則を実現するための措置だと主張するが、一部の大臣は政治信条(イデオロギー)に基づいた決定だとして批判したのだ。
■ お皿にイデオロギーをのせるな!
発端は、22日からリヨンでは複数あった給食のメニューが一つだけになると報じられたことだ。そのメニューでは肉を使わないため、リヨンの右派から反発を受けているという。
その記事に反応したジェラルド・ダルマナン内相は、給食から動物性の肉の排除について、フランスの農家や食肉業者に対する「容認できない侮辱」、「モラルを説き、エリート主義の緑の党は、大衆のことを考えていない。学校の食堂でしか肉を食べられない子どもはたくさんいる。」と批判した。
同じく、ジュリアン・ドノルマンディ農業・食料相は、「子どもたちの皿にイデオロギーをのせるのはやめよう。」と訴え、「子どもたちに良く育つのに必要なものを与えようではないか。肉はその一部だ。」と批判したのだ。
また、反発した畜産農家ら数百人は、22日、家畜と共にトラクターで市庁舎前に集まり「イデオロギーの押し付けはやめろ。」と抗議デモを行い、生徒の保護者は市の決定に反対し、弁護士と相談のもと肉無しのメニューを停止してもらえるよう、26日金曜日にリヨンの行政裁判所に訴えを提出する予定とした。
■ リヨン市長の説明
写真)フランス、リヨン市長グレゴリードゥセ 第107ツールドフランス表彰式にて 2020年9月12日
出典)Christophe Ena - Pool/Getty Images
その批判を受けて、リヨンのドゥセ市長は、これは政府によってもたらされた新型コロナウイルス対策の規則に対応するためだと反論した。リヨンの学校の給食では、魚類と卵の提供は続けても、すべての子どもにバランスの取れた献立を実現できることを強調したのだ。
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