仏教師斬首、発端は生徒の嘘
Japan In-depth / 2021年3月11日 11時15分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランスUlala の視点」
【まとめ】
・中学教師首切断殺害事件で女子中学生が「嘘」。衝撃広がる。
・宗教は仏社会分断の一要因。問題視される「イスラム分離主義」。
・仏社会の「接着剤」ライシテへの考え方に世代間ギャップ浮き彫り。
2020年10月にフランスで起こった中学教師サミュエル・パティ氏の首切断殺害事件(詳細は『仏、18歳が中学教師の首切断』)の発端となった女子中学生(13歳)が、「教師の授業を受けていたのは嘘だ」と自白していたことがわかり、改めて衝撃を与えている。
サミュエル・パティ事件は、「表現の自由」を教える授業でムハンマドの風刺画を見せたとし、一人の生徒が親に訴えたことから大きく発展した事件だ。しかし、その生徒は実際はその授業には出席していなかったのだ。実は、出席していなかったことは最初の時点で他の生徒の証言で知られていた。だが、本人は授業に出席していたと警察には言っており、事件が起きてから約1か月も経った11月20日にようやく嘘をついていたと告白したのである。
生徒がこのように親に嘘をついた理由は、メディアによれば、生徒が問題行動を起こしたため2日間の停学を受けることになったためだ。しかし双子の姉妹が停学も受けない模範的な生徒であったため、自分が停学を受けたことを隠したかったという。
女子生徒の弁護士側からは、多少違うニュアンスの説明がされた。クラスの友達がその生徒に言ってくれるよう頼んだというのだ。生徒は伝えて欲しいと言われスポークスマンの役割を使命感で行ったという。ようするに授業には出席していないが、その時の状況を女子生徒に伝える他の生徒がいたのは間違いないようだ。ムハンマドの風刺画を見せられる授業を受けることにより友達が感じた「不快感」を知らせたかったという。
いずれにせよ授業でムハンマドの風刺画を授業中に見せられたと告発した結果、父親が教師に抗議する動画をSNSに流し、その動画を見た遠く離れた土地にすむ若者がわざわざやってきて教師を惨殺し、フランス全体を震撼させ大きく名を残す事件となったのだ。そして教師を殺害する意図はなかった6人の中学生を含む14人が起訴された。
弁護士によれば、生徒は現在自分のしたことの重大さを深く受けとめているという。事件後は通信教育による勉強を強いられたが、現在は転校し他の学校に通い始めた。しかし、そこにたどり着くまでの心理的障壁はかなり大きかったそうだ。そんな生徒本人は教師の死を望んだことは一度もない。たった13歳の子供がしたことなのだ。見捨てないで欲しいと弁護士は語った。
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