仏教師斬首、発端は生徒の嘘
Japan In-depth / 2021年3月11日 11時15分
■ フランス政府の方針
フランスではこのようなイスラム関連の事件が絶え間なく起こっている。こういった宗教に関する問題はフランスを分断する一つの要因となっており、政府も長年解決策をはかってきた。その大きな軸がライシテである。
ライシテとは、政教分離の原則であり、(国家の)宗教的中立性・無宗教性および(個人の)信教の自由を保障した基本原則の一つだ。フランス独自の歴史文化的、社会的背景が生み出したヨーロッパにおけるひとつの特殊性であるとも言える。
しかし、時代によってとらえ方が変わってきている点は注意が必要だ。最初はカトリック支配からの決別が大きな理由だったが、次の段階では全ての宗教に対する寛容にかわっていく。しかし、現在は、イスラム教徒への制限が大きくとりあげられている。
1989年にイスラム教の女子生徒がスカーフを身に着けてくることが問題になった時も、当時のリオネル・ジョスパン教育相も最初は「ライシテに基づいた寛容」を持って対応すると言っており、それでおさまっていた。が、最終的に1994年9月に「目立たない宗教のしるし」のみ許されることに変わっていったのだ。
▲写真 マクロン仏大統領 出典:Chesnot/Getty Images
2020年10月に行われたマクロン大統領のスピーチでは、問題はライシテではないとしている。ライシテはどの宗教を信じるか信じないかは自由であり、公共空間での宗教を禁止するものではないと述べ、ライシテを分断したフランスを結びつける「接着剤」と位置づけている。
よって、ライシテを正確に尊重しなければならず、全てのイスラム教徒を非難するために使用する罠に引き込まれてはならないとし、問題にしているのは、フランス共和国法を無視しイスラム法に従うイデオロギーである「イスラム分離主義」と述べた。
その上で、学校でのライシテと平等の原則に反することを禁止し、公務員の中立の義務を公共の場で働く派遣会社の従業員にも広げようとしている。
しかし、これらは、多くの現代の若者からは受け入れがたいことのようだ。
■ 世代で考え方の差があるフランスの現在
現在のフランスの高校生と、すでに学校を卒業した一般の大人は、ライシテに対してどのように考えているかのアンケートが行われた。
<参考>Sondage exclusif. Les lycéens d’aujourd’hui sont-ils « Paty » ?
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