バイデン政権下、米の悲劇とは
Japan In-depth / 2021年4月12日 13時44分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・バイデン政権の下、超大国アメリカが下降線をたどっている。
・人種間の争いや凶悪犯罪増加など、米国内の分断が激化。
・「アメリカがアメリカでなくなる」という懸念は強まる一方だ。
私のアメリカとのつきあいも長くなった。留学生時代から数えると、もう半世紀を越えてしまった。その長い体験を踏まえて、いまのアメリカをみると、なんとも心配になる。アメリカはいったいどうなるのか。
アメリカに長年、接してきて、いま初めて深刻きわまる真の懸念を感じるようになったのだ。ジョセフ・バイデン大統領の下のいまのアメリカに対してである。
私が初めて留学生として住み始めたころの1960年代のアメリカは、それこそ仰ぎみて、圧倒されてしまう巨大な強く、たくましい存在だった。
それから20年後の1980年代のアメリカも超大国の実力と威信を示していた。当時のロナルド・レーガン大統領が全世界にとっての「丘の上の輝く町」と評したアメリカ合衆国の雄姿だった。だが2021年のいま、アメリカのあの雄姿はどこへ行ってしまったのか。
ジョセフ・バイデンというアメリカ史上でも珍しい弱点を抱えた大統領を混乱と対立の極のなかで生んだこの国はどうなるのだろうか。いまのアメリカが苦しみ、傷つき、痛み、迷う現状をみると、どうしても「アメリカの悲劇」という表現が浮かんでくる。
私にとっては初めて現実の危機感をも覚えさせるほどの下降線をたどり始めたアメリカ合衆国なのである。その下降は超大国としてのパワー、そして長年、発揮してきた道義とか倫理性の両面なのだ。
そうしたいまのアメリカが第46代大統領のバイデン氏の下でどんな衰退や分裂に直面しているのか、なぜそんな苦境が生まれたのか、その結果として日本や他の諸国への影響はどうなのか、という諸点を最新の単行本としてまとめてみた。
▲写真 アメリカの悲劇!「黒い疑惑」にまみれたバイデン政権の奈落(著: 古森義久/総合出版ビジネス社) 出典:総合出版ビジネス社
『アメリカの悲劇!』という主題、「『黒い疑惑』にまみれたバイデン政権の奈落」という副題の書である。そもそもジョセフ・バイデンという人物がなぜアメリカの悲劇を象徴しているのかの解説だともいえる。
こうした私の認識に対して、「いやバイデン政権は対中政策や同盟諸国の協調という点では意外によくやっているではないか」という反論もあるだろう。「国内的にもコロナウイルスの大感染をなんとか抑え、新たな空気を生み出したではないか」という指摘もあるだろう。
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