バイデン政権下、米の悲劇とは
Japan In-depth / 2021年4月12日 13時44分
だがいま日本に伝わってくるアメリカの実情は、たぶんにアメリカ側の民主党支持の大手メディアによって光と影の光の部分だけが拡大されている。それら大手メディアはいまや民主党の応援団となって、バイデン政権の苦しい側面、暗い現実をほとんど報じないのだ。
そもそもトランプ前政権時代から激しかった保守とリベラルの対立、共和党と民主党との激突はいまやさらに険悪となった。
誕生から3ヵ月のバイデン政権はトランプ前政権や保守支持層、共和党側に対して正面から挑戦し、そのあり方を根幹から否定までする対決姿勢によってアメリカの分断をますます激しくする結果を招いた。
だがその現実をアメリカの大手メディアは軽視、あるいは無視しているのだ。自分たちが全力で盛り立てた民主党バイデン政権の負の実態は最大限、隠そうとするわけだ。
バイデン政権の移民政策ひとつをみても、違法でも犯罪容疑があってもアメリカに入国を希望する老若男女をとにかく追い返さないという「寛容政策」により、メキシコとの国境では未曽有の数の違法の難民や移民が殺到した。
▲写真 2021年3月23日にテキサス州ミッション近くでメキシコからリオグランデ川を渡ったホンデュラスからの亡命希望者たち。米国国境警備隊の検問所に向かう。 出典: John Moore/Getty Images
とにかく子供だけをアメリカになんとか入国させようという中南米諸国の親たちが人身売買的な業者を使って、アメリカ国内に幼い男女をもぐりこませるという活動が激しくなった。
シアトル、サンフランシスコ、ポートランドというリベラル行政の都市ではホームレスが放置され、街の治安や風景を極端に悪化させた。アメリカ社会ではバイデン政権になって人種間の争いや「法と秩序」を突き崩す凶悪犯罪が増えてきたのだ。そんな実例はまだまだある。
私のアメリカとのつきあいは長いが、その長い歳月をすべてアメリカで過ごしてきたわけではない。だが学生として、ジャーナリストとして、あるいは研究者として、実際に住み、働いたアメリカはいつも活力に満ちていた。輝いていた。そして私自身にも希望や教訓を与えてくれた。
アメリカから離れて日本にいても、あるいはベトナム、イギリス、中国というような諸国にいても、遥かにみるアメリカは力強い存在だった。
人間にとっての自由という無比の権利を保証する民主主義の基本を強大な軍事力を使ってでも守るというアメリカは全世界の多数派の頼りだった。つい仰ぎみてしまう対象だった。
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