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バイデン政権下、米の悲劇とは

Japan In-depth / 2021年4月12日 13時44分

アメリカが好きでも嫌いでも、さらにはアメリカの内部で揺れや衝突があっても、この超大国はこの地球が真の危機を迎えた際には、必ずやその救出に乗り出してくる、というような素朴な思いを共有する人たちは多数の諸国に存在してきたといえよう。





だがその最後の期待のようなアメリカ観が揺らぐようになった。少なくとも私自身はそうした不安の感覚を禁じ得ないのである。





その目前の理由はジョセフ・バイデンという人物のアメリカの統治能力、指導能力への不安だといえよう。そしてそんな人物を国家元首に選んだいまのアメリカ国政のメカニズムのゆがみだともいえよう。





そんな不安をごく簡単にまとめれば、「アメリカがアメリカでなくなる」という懸念である。もっとも、バイデン大統領下のアメリカが映し出す国家の根幹部分での揺らぎや崩れは、決してバイデン氏だけが原因ではない。





いまから12年前の2009年に登場したバラク・オバマ大統領、そして2017年に登場したドナルド・トランプ大統領がそれぞれ体現したアメリカ政治の潮流の大きな変化が、今日のバイデン大統領下の危機的状況をもたらしたともいえるだろう。





アメリカ内部のそうした変化はもちろん、外部世界の変化とも密接にからみあっていた。世界が変わったからアメリカが変わったのだ、ともいえるのである。





私はこの期間、ワシントンにあってその政治の潮流の変遷を至近距離で、そして皮膚感覚で体験し、観察してきた。





その考察をいま振り返ると、アメリカからアメリカらしさが消えていくという流れはオバマ大統領がつくり出したといえる。といっても大統領の統治はときの国民の希求の反映でもあった。





トランプ大統領はそのオバマ統治の否定や逆転を目指した。だが、そのこれまでにない型破りの強引な政治手法は、これまでにないほどの激しい反発をも招いた。





そんな時期に中国発の新型コロナウイルスの大感染という邪悪な惨事がアメリカを襲った。人類の歴史でも珍しいこの目にみえないモンスターは、アメリカの政治までを複雑な形で変えていった。その結果、残ったのが史上稀な国内での衝突と混乱と分裂とともに2021年1月に誕生したジョセフ・バイデン大統領だったのだ。





アメリカはだいじょうぶなのか。





そんな心配が追い払っても追い払ってもブーメランのように戻ってくるのが、いまの私のアメリカ考なのである。





そのアメリカの首都ワシントンを、わが日本の菅義偉首相は4月中旬に訪れて、バイデン大統領と会談する。その日米首脳会談の日本側にとっての成功を願うことは当然だが、同時に菅首相を迎えるアメリカ側の現実にもどうしても懸念を向けてしまうというのが私のいまの心情なのだ。





トップ写真:バイデン氏、大統領としての初記者会見 出典:Chip Somodevilla/Getty Images

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