仏「デートDV」への関心高まる
Japan In-depth / 2021年5月3日 19時0分
デーとDVは中学生・高校生を含む10代の若年層の間でも起きている問題であるが、この「恋人、交際相手による心とからだへの暴力」は、まだ成熟していない若者の心に深刻な影響を与える。
キャプシーヌが交際を始めたのは、2015年の15歳の時だった。初めてできた恋人であった。最初は普通のどこにでも見られる若者同士の楽しい恋愛関係だったが、それが次第に変化していく。徐々に友達と遊びにいけないように、寮に帰るとすぐ電話するように強制しはじめたという。デートDVではそういった拘束はもっとも多くみられる行動だ。「好きだから」という理由で「束縛」を強めていくのである。
心理的束縛から、次は肉体的暴力へと発展していった。キャプシーヌの場合も靴を投げつけられたり、むりやり性行為を強要されるようになっていったのだ。目の周りには殴られた跡などがつけられるようになったが、キャプシーヌは嘘をついて隠していたという。両親に知られないようにするためだった。
最初の恋人であったため、何が正常かの比較対象もなく、別れを切り出しても、「おまえなんて誰も相手にしない。」とののしられたりもして辛い日々を送った。最終的には、男性が浮気をしたことでなんとか関係を終了することはできた。しかしながら、心に残った傷は深く、その後も当時の恐怖がフラッシュバックすることに苦しむこととなり、心療内科に通う日々が続いたのだ。
■ 未成年間でも起こる暴力の危険性
それでもまだ、キャプシーヌは命があっただけでもよかったかもしれない。未成年間の恋愛が絡んだ暴力といえば、先日、フランス・パリの北西部の町で起こった、14歳の少女が橋からセーヌ川に突き落とされ溺死した事件が頭をよぎる。犯人は、元交際相手の少年と、その少年の当時の交際相手だ。被害者も未成年であるが、加害者の二人もまだ15歳であった。
この事件は、日本では壮絶ないじめによる事件として報じられていたが、実際は、未成年者の恋愛のもつれのうえ起こった事件でもあった。加害者の15歳の少年は元引きこもりであり、心配した親が私立の職業系中学に少年を入れた。そこで初めて友達ができ、そして生まれて初めてできた恋人が殺害された14歳の少女だったのだ。殺害までに至ってしまった今回の悲劇は、コントロールできない屈折した恋愛感情から起こる暴力でもあったのである。
少年は、元交際相手という立場で当時被害者と付き合っていたわけでもなく、少年の当時の交際相手もかかわっている複数人の犯行であるため、イジメとしか表現しようがなかったのであろうとも思うが、この事件からは未成年者間の恋愛でも深刻な結果をもたらす可能性を思い知らされる。まだ子供だからと言って大人とは違うと思ってしまってはいけないのだ。
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