モンデール元副大統領と日本(上)激烈な日本批判
Japan In-depth / 2021年5月5日 11時0分
その第一はモンデール氏の激烈な日本非難だった。
カーター大統領の副大統領を務めたモンデール氏は1980年の大統領選では現職として共和党のロナルド・レーガン、ジョージ・W・H・ブッシュ正副大統領候補と戦った。だがカーター・モンデール組は敗北した。
カーター政権はソ連にアフガニスタン大侵攻を許し、イランにアメリカ人外交官を1年間も人質にとられた。アメリカ経済は不況をきわめるという不始末だった。だから国民の多数がカーター批判を強めていた。
そこで登場したのがレーガン大統領だった。リベラル派のカーター氏とはがらりと異なる保守派だった。のちに大統領となる先代ブッシュ氏を副大統領として、ソ連に対しては厳しい対決の姿勢をみせ、国内経済では大胆な規制緩和や減税を実施して実績をあげた。
▲写真 1984年の大統領選挙の前日、カリフォルニア州議会議事堂での集会で演説するレーガン元大統領 出典: © Wally McNamee/CORBIS/Corbis via Getty Images
そのレーガン大統領に1984年に民主党を代表して闘いを挑んだのがモンデール氏だった。
この年の選挙キャンペーンも私は当時、毎日新聞ワシントン特派員として最初から最後まで取材にあたった。共和党や民主党の全国大会にも足を運び、各州の世論の状況も再三、調査した。
そのときのモンデール候補の一貫した演説の主題が「日本」だったのだ。しかも「日本叩き」と呼ばれるような激しい攻撃だったのである。
その当時のモンデール氏の日本非難は以下の骨子だった。
「日本はアメリカに自動車など多種の製品を不当に大量に輸出して、アメリカの産業界を破壊している。一方、日本は自国市場は不当に閉鎖してアメリカ製品を締め出している。このままではアメリカ人の次世代は日本に経済制覇され、日本企業の所有する工場の床の掃除をさせられることになる」
モンデール氏は上記のような発言を繰り返し繰り返し、大声で叫ぶのだった。私はそれ以前とそれ以後の大統領選挙を何回もみてきたが、「日本」がこれほどの主題となったことは一度もなかった。1984年の時点でのアメリカにとっては日本との経済関係は国家構造の根幹を揺さぶるほどの重大課題だったのだ、ということだろう。
日米関係は1970年代末から80年代にかけて、経済面での摩擦を深めていた。当時の日本の産業界は日の出の勢いだった。官民一体の産業政策が花を咲かせた形で工業製品は全世界でも最高の品質、しかも廉価な品目が全世界で人気となった。だがその多くはアメリカの巨大市場へと輸出された。
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