モンデール元副大統領と日本(上)激烈な日本批判
Japan In-depth / 2021年5月5日 11時0分
モンデール氏は現職のレーガン政権の対日政策をも非難していた。共和党のレーガン政権は経済面での日米間のトラブルを重視せず、厳しい制裁の措置をとらない、という非難だった。
アメリカでは伝統的に外国からの輸入品で自国産業が被害を受けるという認識は労働組合がまず提起して、抗議の声をあげるのがパターンだった。民主党はその労働組合との絆が歴史的に強かった。この現状はいまのバイデン政権下でも変わらない。だから民主党リベラル派のモンデール氏が日本非難や、その日本に厳しく当たらない共和党政権への非難を声高に叫ぶのは予期されたことだったともいえる。
▲写真 モンデール元副大統領とバイデン副大統領(当時)(2015年10月20日 ジョージ・ワシントン大学) 出典:Mark Wilson/Getty Images
実際に日本の産業界はアメリカに対して、最初は繊維製品を大量に輸出して、米側の業界から反発された。その反発がアメリカ政府に反映され、日本への抗議や圧力ともなった。1960年代だった。
その後は1970年代から80年代にかけて日本の電気製品、鉄鋼、そして自動車と、アメリカ市場への工業製品の大輸出は洪水のように激増していった。その結果、日本の経済が活気を呈し、日本の国家や国民が繁栄した。
アメリカでは対照的に競合する産業界が衰えをみせた。日本の「経済侵略」に不満をぶつける動きも広まった。アメリカ議会などではその日本の経済攻勢を日本の防衛面での消極性と対比して、「防衛のただ乗り(フリーライド)」と批判する声も起きた。
こうした日米経済摩擦の極端な断面を象徴したのがモンデール氏の1984年の大統領選挙での演説内容だったのだ。一般有権者向けのキャンペーンで日本を最大のテーマとして、日本への抗議や警告を語り続けたのだった。
その発言は単に日本叩きではなく、具体的な政策をも提起していた。
「アメリカの財政や経済の悪化の原因の多くは日本に由来している。日本に対してもっと強硬に圧力をかけて、より健全な貿易関係を日米両国間にもたらす協定を結ぶべきだ」
(中につづく)
トップ写真:講演する故ウォルター・モンデール元副大統領(2013年9月24日 ワシントンD.C.) 出典:Win McNamee/Getty Images
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