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開催反対論に「乗る」気はないが(上)「コロナ敗戦」もはや不可避か その1

Japan In-depth / 2021年5月14日 11時0分

まずは第二の問題から見て行くと、五輪の開催中止を求める人たちが、水泳の池江璃花子選手に対して、Instagramへのダイレクトメッセージなどで「辞退して」「反対に声を上げて」という声を寄せた。









▲写真 池江璃花子選手 出典:Lintao Zhang/Getty Images





よく知られるように彼女は白血病という難病の治療を経て、五輪代表に復帰した選手である。辞退してくれなどと、一番言ってはならない相手ではあるまいか。





もっとも当人は、





「今このコロナ禍でオリンピックの中止を求める声が多いことは仕方なく、当然の事だと思っています」





とした上で、





「私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません」





と返信している。まだ20歳の女性がちゃんと大人の対応をしているのに、部外者のオッサンの方がブチキレそうになってどうする、などと反省させられた次第だ。





丸川珠代・五輪担当大臣もこの件に言及し、





「匿名で個人に言葉の暴力をぶつけるのは、いかなる理由があっても許されない」





と語った。この発言自体はいたって正当なものなので。かつて国会で、質問中の野党議員に「愚か者め」などとヤジを飛ばしたのは、まあ匿名ではなかったですからね、などと嫌味を述べてはなりませぬ笑。





このように、当のアスリートからでさえ、政府による安全対策を全面的に信頼して開催すべきだ、という声は聞こえてこないのが偽らざる現状なのだ。









▲写真 丸川珠代氏(現・五輪担当相)と森喜朗氏(前・組織委会長)(2016年) 出典:Koki Nagahama/Getty Images





次に第一の問題。これもまあ表現の問題という要素はあるが、





「五輪など中止して浮いたお金を生活困窮者に回せ」





との論理でもって、開催反対に声を挙げた人が多い。それができるのなら、私などもとっくの昔に開催反対を主張していた。





「中止すれば、今まで投資した分が無駄になる」





などという、森喜朗・前大会組織委員会会長の論旨にはまったく賛同できないが、五輪にはそれなりの経済効果を期待することができ、逆に言うと中止・延期・規模縮小いずれの場合も経済的損失が生じることは避けられない。実際、関西大学の宮本勝治教授の試算によれば、





※規模縮小=各会場の入場者数を定員の50%に制限した場合:1兆3,898億円





※無観客開催の場合:2兆4,133億円





※中止した場合:4兆5,151億円





……これだけの経済的損失が見込まれるという(関西大学のプレスリリースなどによる)。





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