五輪損切り、消費税凍結を選択肢に(上)「コロナ敗戦」不可避か その5
Japan In-depth / 2021年5月28日 23時0分
1月20日の就任演説で、同大統領は
「100日以内に1億回のワクチン接種を実施する」
という目標を掲げた。これだと4月末までに1億回、というスケジュールになるはずであったが、3月中にクリアしてしまい、2億回と倍加された目標まで4月中にクリアしてしまった。大規模接種に対応する緊急事態管理庁が、スタジアムなどを接収し、ITを駆使して問診から接種までを流れ作業でできるようにした成果である。
それに引き換え日本では、4月23日になってようやく、菅首相自身が、
「7月末までに高齢者へのワクチン接種完了」
との目標値を発表した。世界に冠たる少子高齢化社会となった「大日本高齢帝国」においては、総人口の28.1%、3617万人が65歳以上である(2020年9月15日付・総務省発表)。
その3617万人に、7月末までに2回接種を完了させるため、逆算して導き出されたのが「1日100万回摂取」であったが、現実はどうであったか。
五輪開幕まで2カ月もない5月24日に、東京と大阪で、医師や看護師の資格を持つ自衛官が配置され、民間の看護師らの協力も得た大規模接種センターがようやく稼働を開始し、初日は7500人が摂取できたという。月末までには両会場で計1万5000人に摂取可能となるそうだが、1日100万回までには、もういくつ寝ればよいのだろうか。
▲写真 自衛隊「大規模接種センター」東京都・千代田区 出典:Japan In-depth編集部
しかも米国では。経済再建のもうひとつの柱として、大学生や若年勤労者への接種もどんどん進めている。プリンセスとの結婚が取り沙汰されている男性が留学中の法科大学院では、多くの学生が接種証明書を手に卒業式に出向くことができたし(当人は欠席)、予約なしで接種が受けられるようになった大学も複数存在する。なにしろ多い日には1日300万人以上に接種できているのだ。
ここでまたもや、アジア太平洋戦争当時の話を持ち出すが、こんなことが記録されている。戦争の初期に、南方で多数の捕虜を得た日本軍が、捕虜200名に対し、6日間で滑走路の補修をせよ、と命じた。ところが米軍の捕虜は、破壊を免れたブルドーザーを持ち出し、操縦者と測量要員2名の計3名だけで、予定の工事を2日で仕上げてしまった。
「物量の差」とは、具体的にはこういうことだったのである。ブルドーザーを見たこともない現場に対して、上層部が「物量の差は精神力で補う」と檄を飛ばしたところで、どうにもならなかった。
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