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米韓同盟強化優先で北朝鮮非核化後退

Japan In-depth / 2021年5月29日 23時32分

米韓同盟強化優先で北朝鮮非核化後退




朴斗鎮(コリア国際研究所所長)





【まとめ】





・5月21日、バイデン米大統領と韓国の文在寅大統領は初会談。





・共同宣言で「北朝鮮の完全な非核化」との用語、使用されず。





・バイデン政権による北朝鮮非核化実現は、成功の可能性低い。





 





5月21日、バイデン米大統領と韓国の文在寅大統領は、ワシントンで初の会談を行った。この会談での主要議題は、米韓同盟の強化、北朝鮮非核化、中国への牽制、米韓技術協力と地球温暖化や新型コロナウイルス対策、米日韓協調問題などだ。その他韓国からは、400億ドルの対米投資が示され、米国からはミサイル射程距離制限解除と駐韓米軍保護のための韓国軍へのワクチン55万人分提供が伝えられた。これらの合意内容は、長文の共同声明に収められている。





1、目立つバイデン政権の文政権への配慮





会談では、対中国包囲網強化のための米韓同盟強化問題が優先され、注目されていた北朝鮮非核化問題は、国連制裁の完全な履行が強調されたものの、文在寅大統領への配慮が目立った。





それは、次の5つの内容で示された。





①「北朝鮮の非核化」ではなく「朝鮮半島の非核化」と記述

②2018年の板門店宣言とシンガポール米朝共同声明継承を確認

③外交と対話が必須と強調し圧力への言及控える

④文政権の南北対話と関与、協力政策にバイデン大統領が支持表明

⑤北朝鮮の人権改善要求で、人道的支援の提供がその主要内容であるかの如き文の挿入。





この内容は全て北朝鮮が好む「太陽政策」の中身とも言えるものだが、この中で最も気になるのは「我々の目標は、朝鮮半島の完全な非核化」とした部分である。当初バイデン政権が強調し、日米共同声明でも明確にされていた「北朝鮮の完全な非核化」との用語は使われなかった。





では「朝鮮半島の非核化」との用語使用はなぜ問題なのか?





それは「朝鮮半島の非核化」に、北朝鮮の非核化だけでなくその他の5つの内容、すなわち





▼韓国内の米国核兵器の公開

▼韓国内の核兵器および基地の撤廃・検証

▼米国のグアムや在日米軍戦略資産の朝鮮半島への展開禁止

▼対北朝鮮核不使用の確約

▼在韓米軍の撤収





などが込められているからである。





北朝鮮はこの内容を2016年7月に政府報道官声明で明確に示した。





そのことがわかっていたからこそ、バイデン政権は、ブリンケン国務長官の韓国訪問時には、韓国のチョン・ウィヨン(鄭義溶)外務部長官が「朝鮮半島の非核化」と言ったのに対してわざわざ「北朝鮮の非核化」と明確に述べていたのである。しかしなぜか今回の共同声明では韓国側が使う「朝鮮半島の非核化」としている。









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