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五輪損切り、消費税凍結を選択肢に(下)「コロナ敗戦」不可避か 最終回

Japan In-depth / 2021年5月31日 19時0分

経済問題に話を戻すと、もともと新型コロナ禍で日本経済は大いなるダメージを受けている。およそ20年前のリーマンショックをも超え、戦後最悪レベルに達しているとの試算も、すでに発表されている。





これは間違いなく「国難」なので、だからこそ100兆円規模の財政出動が必要だと、私は前々から訴えてきた。ところが、昨年10万円の給付金が配られた後、政府の動きはまったくもって鈍すぎる。





今年も半分過ぎようかというころになってようやく、困窮家庭を対象とした新たな給付金が検討され始めているが、それよりも来年一杯くらいまでの時限措置でよいから、消費税をひとまず凍結(税率0%)してはどうだろうか。





もともと消費税は、所得の低い人ほど負担が重いという「逆進性」が指摘されていた。ということは、これを一時凍結することにより、所得が低い人ほど恩恵が受けられることになるだろう。





もう少し具体的に、年収200万円程度の家庭では、家族構成や住居費負担などによって消費の内容は変わってくるが、どのみち貯蓄はかなり難しい。今の日本では、2人以上世帯の16.1%、単身世帯では36.2%が、運用や将来に備えるための金融資産を保有していない「貯蓄ゼロ世帯」であるという(金融広報中央委員会・2020年)。





つまり、年収200万円台の家庭では、所得のほぼすべてを消費することになり。年額20万円近い消費税を納めているわけだ。これを凍結すれば、20万円の給付金と同じ効果があるのではないか。





財政出動と考えても、消費税分を赤字国債に転化した方が財政への負担は軽い。令和元年度の我が国の税収は、およそ102兆6580億円、うち約21兆7190億円(21.2%)が消費税収入だ。





一方、昨年の一律10万円の給付金は、およそ12兆円の財政負担となった。これに、飲食業や旅行業などへの休業補償を加算すると、どのみち20兆円ほどの負担になる。今、困窮しているのは上記の業界だけではないので、平等性という観点からも、消費税を凍結してしまった方がよいのではないか。





一律10万円の給付金については、もともと税金で生活を維持できている生活保護家庭や、刑務所の受刑者にまで配るのか、という批判もよく聞かれた。個人的には、生活保護家庭については(騒ぐほど悪いことか)と思ったが、住所のないホームレスは受け取れないのに、刑務所にいればもらえるのか、という点は、たしかに納得しがたかった。





しかも、消費者物価が下がったのと同じ効果を持つわけで、経済再建のために消費を刺激する効果も期待できる。





 他に良い方法もあり得ようが、すぐにでも実行できる政策なのであり、選択肢として検討するには価すると私は信じる。





(その1,その2,その3,その4,その5)





トップ写真:パラリンピックまであと100日(東京 - 5月16日)東京2020大会の橋本聖子会長(右)、小池百合子東京都知事(左)、日本パラリンピック委員会の鳥原光典委員長(中央) 出典:Issei Kato-Pool/Getty Images




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