Windows11にアップグレードできない理由「セキュリティ強化」は本当?
Japan In-depth / 2021年7月14日 23時0分
岩田太郎(在米ジャーナリスト)
【まとめ】
・Windows11発売。Windows10PCで「11」にアップグレードできない機種が出る可能性。
・古いパソコンは使えないと認識させ、買い替え需要を創出することにしたとの見方も。
・Windows11のアップグレード要件の緩和か、Windows10のサポート延長を検討すべき。
米テック大手の一角であるマイクロソフトは、これまでの同社オペレーティングシステムの中で最も戦略的なWindows11を、今年の年末商戦の時期に合わせて10月に市場に投入する。これに伴い、過去5年間に発売されたWindows10パソコンであっても、Windows11にアップグレードできない機種が出るほか、Windows10「Home」「Pro」などメインストリームのサポートが2025年10月14日をもって終了する。
Windows11がすべてのWindows10パソコンからのアップグレードをサポートしないことについてマイクロソフトは、「セキュリティ、信頼性、互換性の強化」を理由として挙げている。だが、同社のデベロッパーエバンジェリストだったジェリー・ニクソン氏は公式見解ではないものの、Windows10を「最後のバージョンのWindows」と表現したことがあり、永遠のベータ版を謳ったあの話は何だったのだという声も聞かれる。
マイクロソフトがWindows10を切り捨てるのは、本当にセキュリティ強化が目的なのか、簡単に検証してみたい。
■ 旧型のパソコンでもサクサク動く
Windows11は前バージョンの「10」と比較して、ハードウェアの要件が格段に高くなっている。アーキテクチャは64ビットのみをサポートし、起動方式はレガシーのBIOSではなくUEFIのみ、心臓部であるCPUは2018年あたりから出回った製品限定、グラフィックスカードはDirectX12 以上でWindows10から採用されたWDDM2.0ドライバーに対応したものだけ、メインメモリは4GB以上、仮想化されたセキュアブート対応でディスク暗号化が行えるTPMのバージョン2.0以上などとなっている。
しかし、開発者たちが現在テスト中のWindows11開発者版は最終製品ではないものの、インストール時の要件チェックを行うDLLファイルをWindows10のものと入れ替えるトリックを使って、元来Windows7搭載機として発売されたモデルにもインストールでき、それほどストレスなくきびきびと動作することが報告されている。
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