仏、アフガニスタン難民の対応
Japan In-depth / 2021年8月21日 18時0分
Ulala(著述家)
「フランスUlalaの視点」
【まとめ】
・欧州では、シリア内戦を前例とし難民の受け入れと不法移民への対応が問われている。
・フランスでは、難民申請者は必ずしも永久的に滞在が許可されるわけではない。
・首都カブールでは、避難希望者が救助を待つ状況が続く。
アフガニスタンでは、反政府武装勢力タリバンが首都カブールを制圧し、15日(日本時間16日早朝)、政府に対する勝利を宣言した。また、ガニ大統領が出国したことにより、事実上、政権は崩壊したのだ。
この事態を受け、16日、フランスのマクロン大統領がテレビ演説を行った。アフガニスタンの不安化において、「最優先の緊急課題は、在留フランス人とフランスのために働いたアフガニスタン人の安全確保」であることを明言した。そして、「助けが必要な人々の受け入れをする」とした上、「欧州に向けて大量に移民が流出する危険がある」と、対応の必要性を訴えたのだ。
■ 難民受け入れと、不法移民への対応
ヨーロッパは、2015年にシリア内戦がおこった際、シリア難民が押し寄せてきたことで大混乱に陥った。100万人を超える群衆が押し寄せてきたことで、移民の対応をめぐりEUの団結にも大きく影響を及ぼしたのである。そのため、アフガニスタンの不安化によって同様な事態になることが懸念されているのだ。
特に、難民の受け入れを強調したドイツやフランスには、難民対象者だけではなく、続々と不法な移民希望者が集まってきたことも問題になった。このため、今回はマクロン大統領も、不法移民に対する対応を厳粛に行っていくことを強調したのであろう。ドイツのホルスト・ゼーホーファー内相によれば、今回、30万~500万人のアフガン難民がヨーロッパに向かう可能性があるとしている。マクロン大統領は、こういった移民の波に「確固たる対応」するべく、アフガン難民が途中で通過すると考えられるトルコを含む各国と協調していく意向を示したのだ。
フランスでは、すでに難民の受け入れを承諾している自治体も多く、助けが必要とされた難民は受け入れ先に行く体制が整っている。しかしながら、この難民受け入れに対して、右翼の一部では真っ向から反対している人たちもいる。「国民戦線」(FN)党首のマリーヌ・ルペン氏もその一人だ。
▲写真 「国民戦線」(FN)党首のマリーヌ・ルペン氏(2021年6月27日) 出典:Photo by Sylvain Lefevre/Getty Images
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