混乱アフガン、バイデン米大統領苦境
Japan In-depth / 2021年8月21日 23時0分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・タリバン政権奪取から一週間経過も情勢見通せず。
・9.11以降、米軍介入が続いたアフガン情勢は混乱を極めてきた。
・強権政治に戻るのか、タリバン政権に注目集まる。
アフガニスタンの旧支配政権タリバンが、20年ぶりに米英などの後方支援を受けていたガニ大統領率いるアフガン政権を崩壊させてから1週間経った。しかしタリバン新政権も15日に勝利宣言をしたものの統治と新方針が定まらず混乱を極めている。欧米の支援国は次々と自力で自国民の脱出救援に力を入れているが、日本だけは飛行機の手当てなどが遅れもたついているし、日本政府の救援の動きも感じられない。
カブールの国際空港は脱出したい外国人や外国に逃げたいアフガン人で混乱し、多数の人が飛行機に乗り込もうとして危機的状況を呈しているという。米政府は4000人と言われる職員らを大使館からヘリコプターで国際空港に移動させて国外脱出に力を入れている。フランスやドイツ、カナダも自国機をカブールに派遣し自力脱出を目指している。このほか韓国は米政府の協力を得て17日までに韓国人と現地の大使館員の退避を終えたといい、インド、トルコ、フィリピンなども空軍機や民間チャーター便などで退避させたという。また、中国とロシアもタリバンとは裏で密かな接触を続けてきたため、政権が代わっても信頼関係を持てると自信をみせている。
日本は国際赤十字関係者など出国希望者が約500人滞在しており、在アフガン日本大使館は「在留邦人の国外退避の段取りをつけたいが自前で航空機を派遣していない日本は一斉に帰国させるのは難しく各国と連携した対応策を考えている。」と説明しているが、欧米のように自力脱出のメドは立っていないようだ。日本は2001年の同時多発テロ以降もアフガニスタンを自立させ、テロの温床とならないことを目標に農業、インフラ、医療などの支援を続けてきた。アフガニスタンとパイプを持っていることを自認し、19年に医師の中村哲氏が武装集団によって殺害された後も支援を続けていた。これまでの支援実績は68億ドル(約7500億円)に上り、20年にも茂木敏允外相が24年まで1億8000万ドル(約200億円)の支援を続けると約束してきた。こうした特別な関係を維持してきただけに、日本が特別扱いされることも期待していたが、今のところ何のシグナルもアフガニスタン側から発せられていない。外務省は今後タリバン政権を承認するかどうかも決まっていないとしている。
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