いまだ行われる生活保護費の水際対策
Japan In-depth / 2021年9月3日 16時0分
しかし私の力不足もあり、ここはもうKさんが一時的にホームレスになることを受け入れるしかないと腹をくくった。そして「回復施設の何が嫌?」と聞き取り調査を行うと「グループミーティングが嫌。自分の事を人前で話せない。」「食事当番が嫌」「集団生活が嫌」との事であった。「じゃあ、Kさんの条件に合う回復施設を探しておくから、困ったことがあったら必ず私に電話して」と伝え電話番号を渡した。「お金がないから携帯にはかけられない。」というので母親からテレカを渡して貰った。
●もう無理ですわ
実は、この時私には1つの望みがあった。国内の数少ないギャンブル依存症回復施設の1つが佐賀県にある。ここはクリニックが併設されていて、医師も長年東京で依存症診療に関わってこられた先生であり、施設代表者も看護師の資格をお持ちである。何度か連携させて頂いており、Kさんを頼めるとしたらここしかないのではと思っていて打診していた。
しかし、この時はKさん自身が回復施設に対する拒否反応が強かったため、一度は「佐賀はどう?」と聞いてみたが、全く受け付けられなかった。
そこで私は改めて、この回復施設に
①特別にグループミーティングを免除して欲しいこと
②食事当番などはできないこと
③その他こだわりが強く集団生活が苦手なこと
などを伝え、この施設で受け入れて貰えるか確認した。
依存症回復施設では、グループミーティングは回復プログラムの要である。それを誰かを特別扱いして、不参加OKにしてしまえば、他の入寮者に悪影響を及ぼしかねない。簡単なようでとても難しい問題なのである。
しかしこの佐賀の回復施設では、Kさんと同じように重複障害を抱えている方が一人いらして、グループミーティング中はその人にできる作業をやって貰っているとの情報を得ていたので、Kさんの受け入れを改めてお願いしたところ、快く了承を頂けた。あとはなんとかKさんから連絡を貰い、回復施設の入寮を承諾して貰えるかどうかである。
Kさんがホームレスになって3日後の夜「もう無理ですわ」と私の携帯に連絡があった。何度か関わり持てたお陰で少しは信頼関係ができたのかと「やった!連絡をくれた」と嬉しかった。Kさんが居る場所を聞いて落ち合い、一緒に食事を取ることにした。Kさんからは、今年はとても暑くてホームレスになるといってもおちおち寝ることもできない。最後のなけなしの金を使って昨日はネットカフェに泊まったが、もう本当にお金がなくなったと言われた。
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