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「エシカル」を通じて家庭科の新しい可能性を

Japan In-depth / 2021年9月5日 21時0分

今後は更にその輪を広げようとエシカルラーニングラボに附属幼稚園の教諭も加わり、中学生が幼稚園で授業を行うプログラムも計画している。





また、ディスカッションを行う機会も積極的に設けている。





「学校で一番良いことはいろいろな価値観を持った人がいて、それを共有できること。大学以降では興味がある人がNGOなどの集まりに行って(知識を)深めますが、そうでない人が大多数なのでそこにどうアプローチするかが幼・小・中・高の公教育で大事になってくると思います」





授業をきっかけに、生徒が主体のアクションも生まれている。ある生徒は、授業で学んだカカオ農場での児童労働に衝撃を受け、より多くの人に「エシカル消費」について知ってもらおうと文化祭の実行委員長に立候補した。





いつもの文化祭に「エシカル」な要素を取り入れようと生徒でアイデアを出し合い、オーガニック食材や間伐材で作られた割り箸の利用、不要になったバドミントンのシャトルをアップサイクルしたストラップの販売、オリジナルエシカル商品を開発し、売り上げを東日本大震災で被災した高校生の奨学金に寄付するなどをはじめ、さまざまに工夫を凝らした。





「最初は『面倒くさいよ』と反対する子もいたらしいのですが、やってみると意外と簡単なアイデアでできる、と取り組んでいました」





また、訪問授業がきっかけで小学生の時に児童労働に関心を持ち、中学でNPOのユース・ボランティアとして活躍している生徒もいる。





平成30年に改訂された新たな学習指導要領では、家庭科の内容構成の4項目の中に「持続可能な消費生活・環境」という項目が生まれた。サステナブルな視点を養うことが学校教育に求められるなか、葭内さん自身も授業の内容や成果を公開授業や研究発表の場で積極的に発信している。





 ■家庭科を通じて「科学」を身近に





お茶の水女子大学附属高校は、科学技術系人材の育成のために文部科学省「スーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)」に指定されている。SSHには、全高校の約5%にあたる218校が指定されており、独自のカリキュラムによる授業や、大学・研究機関との連携、地域の特色を生かした課題研究に取り組んでいる。





高校1年次の家庭科では「生活の科学」と題して、環境や衣食といった暮らしの身近な事象から科学的視点をを養う授業を行っている。例えば、「植物の色と科学」をテーマにした授業ではアントシアニンなど植物由来の色素について学んだ後、実際に環境配慮の新型草木染めに挑戦する。染色の仕組みなどを科学的に理解し、科学への興味・関心を育てることが目的のSTEAM教育だ。(編集部注:科学=Science、技術=Technology、工学=Engineering、アート=Art、数学=Mathematicsの5領域を対象とした、理数教育に創造性教育を加えた教育理念)





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