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今後10年の方向性決める総裁選

Japan In-depth / 2021年9月8日 0時13分

このシステムを最大限活用したのが、小泉政権と安倍政権である。この二人の傑出した総理大臣は、派閥の力ではなく、リーダーとしてのカリスマ的パワー、というか、個人の力によって政治的求心力を創造し、強化された自民党総裁のパワーを推進力に変えたのだ。だが、もしこの仮説が正しければ、その結論は恐ろしいものとなる。





第一は、今のシステムが続けば、この種の傑出したリーダーを選ばない限り、自民党による長期政権は難しくなることだ。小選挙区制度の下で、派閥は「半独立した政治マシーン」にはなり得ない。特に、総選挙が逆風で、誰もが自らの再選を懸念し始めれば、組織としての「政治マシ―ン」が機能しなくなるのも当然だろう。





第二の結論は、派閥の人材育成機能が一層劣化する可能性である。冒頭の記事には安倍政権が「総裁候補を育む活力もそいでいった」とある。だが、そもそも、半独立の政治マシーンでない派閥の長に、時の総理総裁と「喧嘩」する気概を求めるのは無理だし、派閥を維持する調整能力と「発信力」「カリスマ性」とは全く別物だ。





第三の結論が最も恐ろしい。それはシステム自体に「ナショナリスト」「ポピュリスト」のリーダーを輩出する機能がビルトインされている可能性があることだ。簡単に言えば、見栄えが良く、サウンドバイトが得意であれば、無責任で、あまり中身はなくても、一般大衆の人気の高い政治家が総理総裁になり得るということでもある。





あれあれ、外交安保のカレンダーであるはずなのに、ちっとも外交の話がなかったばかりか、最後は陳腐な知ったかぶりの内政コメントになってしまった。心よりお詫び申し上げる。それでも、今回の自民党総裁選は今後10年の日本の方向性を決めかねない重要なものだ。来週は今の日本外交に必要な人材について書くことにしよう。





〇アジア





習近平国家主席が「貧富の差を是正しすべての人が豊かになる『共同富裕』を目指し、高すぎる所得の調整や高所得層や企業に対して社会への還元を促す方針を打ち出したと報じられた。もし「共同富裕」が、税や社会保険料に代わり、政治的手段で富の再分配を図ることだとすれば、これは何かの「終わりの始まり」となるだろう。





〇欧州・ロシア





独総選挙が26日に予定されているが、メルケル現首相の保守与党CDU・CSUが苦戦する一方、中道左派・社民党が支持を伸ばし、同党中心の左派政権誕生の可能性が出てきたという。「ポスト・メルケル」のドイツが混乱すれば、それは即、EUの混乱に繋がる。ドイツの総選挙の行方には最大限の注意が必要だ。





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