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総裁選:「原発ゼロ」の意味するもの

Japan In-depth / 2021年9月19日 11時33分

さてここで疑問は誰が再エネを買い取るお金を負担しているのかということだ。なにをかくそう、他でもないわたしたち電気を使う需要家が負担しているのだ。電力会社が再エネで発電された電気を買い取る費用の一部は、私たちの電気料金に「賦課金」という形で自動的に乗っかっている。毎月電力会社から来る電気使用量のお知らせを見てみるといい。小さく、「再エネ発電賦課金」などと書かれており、月の電気料金の1割以上を占めているはずだ。









▲図 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の算定方法 出典:経済産業省資源エネルギー庁





その総額は、2020年度で約2.4兆円に上っている。これは消費税約1%分に相当する。今後再エネを増やしていけば、当然賦課金も増えていく。月の負担が3000円を超したらみな悲鳴を上げるのではないだろうか?再エネは賛成、でも電気料金が上がるのはいや、というわけにはいかないのだ。









※ 平均モデル:東京電力EPや関西電力がHPで公表している月間使用電力量260kWhのモデル





▲図 固定価格買取制度導入後の賦課金の推移 出典:経済産業省資源エネルギー庁





たしかに長期的に再エネ拡大は必要だが、2030年には後9年しかない。菅首相が、この4月に行われたバイデン気候サミットでうっかりCO₂46%削減を公約してしまったばかりに大変な事になった。









▲写真 気候サミットに参加する菅首相(2021年4月22日) 出典:首相官邸





とにかくやみくもに再エネを増やさねばいけなくなったのだ。しかし、再エネは安定的な電源にはならない。太陽光は曇りや雨の日は発電量が落ち、夜は発電しない。強い風が吹く場所が少ない日本では風力発電の立地が難しい。期待の洋上風力もまさにこれから開発する段階だ。





CO₂を多く排出する火力発電も減らし、原子力発電を全く使わないで、2030年CO₂46%削減は絵に描いた餅だ。安全性を確保した原発から再稼働し、必要なものはリプレースし、新増設して、安定的な電源を確保するのが最も合理的だろう。原子力発電はCO₂を排出しないし、24時間発電可能だ。





震災後、日本の原発は世界で最も厳しいといわれる新規制基準を達成すべくさまざまな対策を施してきている。同基準は、設計基準の強化と、その設計の想定を超える事象にも対応するシビアアクシデント対策の2本柱で構成されている。









▲図 原子力発電所の新規制基準 出典:日本原子力文化財団





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