1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

総裁選:「原発ゼロ」の意味するもの

Japan In-depth / 2021年9月19日 11時33分

こうした追加安全対策費は、2011年から19年までに5兆円超かかっていると朝日新聞などが報じている。しかし、現時点で稼働している原発は全国で10基しかない。





動かさない原発の安全対策に莫大なお金をかけ、その代わりに火力発電所をフル稼働させてCO₂を排出しているのが今の日本なのだ。新規制基準に適合したものから再稼働するのがどう考えても合理的だろう。輸入する燃料費も莫大だ。これ以上電気料金が上がったら、日本の産業競争力は落ち、経済成長など望むべくもない。









▲図 原子力発電所の現状 出典:経済産業省資源エネルギー庁





こうした現実を直視し、危機感を抱いている政治家は多い。自民党の有志議員による「脱炭素社会実現と国力維持・向上のための最新型原子力リプレース推進議員連盟」はもともと、国の中長期的なエネルギーの指針である「エネルギー基本計画」に原発のリプレース(建て替え)や新増設などを盛り込むよう求めていた。





しかし、7月に経済産業省が出した同計画の「素案」には「リプレース」が盛り込まれなかったどころか、「可能な限り原発依存度を低減する」との文言が記載された。同議連は15日院内で会合を開き、素案の修正を求めていくことと、総裁選候補者に見解を求めることを決めた。「リプレース議連」には約60名の議員が名を連ねている。各候補がどのような回答を寄せるか注目だ。









▲写真 新潟県柏崎で発生したマグニチュード6.8の地震後の東京電力(TEPCO)柏崎刈羽原子力発電所の概観 2007年7月17日 出典:Photo by Koichi Kamoshida/Getty Images





「原発ゼロ」は野党の十八番だと思っていたが、与党内でも河野太郎候補や、いち早く河野支持を打ち出した小泉進次郎環境相は「原発ゼロ」をかねて主張している。





その河野氏は総裁選に名乗りを上げて以来、「原発ゼロ」を前面に打ち出していない。耐用年数が来た原発から廃炉にしていくのでいずれゼロになる、という言い方を繰り返しており、軌道修正を行ったかに見える。





しかし、もし新総裁に選出され総理大臣になったときに、本当に日本のエネルギー政策を正しく導いてくれるかどうか、我々は見極めなければならない。





環境至上主義に陥って、エネルギー安全保障が揺らぐようなことがあってはならない。弱きものにやさしい政治、分配、そんなことばが飛び交う総裁選だが、実は一番重要なのはエネルギー政策だ。「原発ゼロ」や「カーボンニュートラル」や「脱炭素」などの美辞麗句に惑わされず、その本当の意味を知ることが今我々に求められている。





トップ写真:アイリッシュ海ブルボバンク・オフショア風力発電所(2020年11月19日 イギリス・ウォラシー) 出典:Photo by Nathan Stirk/Getty Images




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください