見えぬ各候補の対露方針 「2島返還」か「4島返還」回帰か
Japan In-depth / 2021年9月25日 19時0分
樫山幸夫(ジャーナリスト、元産経新聞論説委員長)
【まとめ】
・自民総裁選、政策論争活発だが安保・外交は目立たず
・期間中、激しい世界の動きの中で、ロシアは領土問題で強硬姿勢繰り返す
・新しい総理・総裁は成算のない「2島返還」を放棄し、「4島返還」にもどるべきだ
■論争の中心は、コロナ、内政
次の総理・総裁が今月29日に決まる。選挙戦は大詰めだ。
今回の選挙は各派閥が〝自主投票〟を決めたこともあってか、政策論争もそれなりに活発だ。コロナ、年金、子どもの将来・・。いずれも緊急、国民の関心が高い問題だが、国のありかたを含む、外交・安全保障問題での論戦はほとんどない。
とくに対ロシア政策では、安倍前内閣による「2島返還」への転換の失敗が鮮明になり、時あたかも、先方がますます強硬になっている。にもかかわらず、各候補から、「2島返還」を維持するのか、従来の大方針「4島返還」に立ち戻るのかは伝わってこない。新政権登場という政策再転換の好機に、明確な方針が示されないのは残念というほかはない。
■安保・外交はほとんどテーマにならず
自民党総裁選各候補の発言を筆者は細大漏らさず取材しているわけではもちろんない。少なくとも各出馬会見、自民党の所見発表演説会、日本記者クラブでの共同記者会見、党女性局、青年局主催の討論会、各メディアのインタビューなどをみるかぎり、この問題が話題にのぼることはなかった。
9月18日の日本記者クラブでの討論会で、「(2018年の)シンガポール合意を維持するのか、それともこれを変更して、4島返還にたちもどるのか」ーとの質問書を提出してみたが、残念なことに司会者が採りあげず、各候補に対する質問には含まれなかった。
9月24日、外交、安保などをテーマにしたタウンミーティング形式の討論会でも、参加した有権者からの北方領土問題での質問、候補者からの言及、いずれもなかった
■プーチン大統領、「北方領土を外資誘致の特区に」
総裁選期間中のいま、世界では大きな動きが続いている。アフガニスタンからの米軍撤退、それに伴うタリバン政権の復活、日本の救出活動の失敗、北朝鮮の巡航、弾道ミサイル発射、中国を意識した米英豪によるあらたな枠組みAUKUS(オークス)の発足・・。
そうしたなか、ロシアのプーチン大統領は、菅義偉首相が退陣表明した9月3日、ウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムで演説。北方領土に、外資誘致の特区を設置する方針を明らかにした。不法占拠している日本固有の領土を、自らの思いのままにしようとする暴挙であり、同時に表明した平和条約締結交渉への意欲は空虚に響いた。
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