比大統領選、台風の目ドゥテルテ氏長女
Japan In-depth / 2021年10月16日 11時58分
一方反ドゥテルテを掲げて政権交代を狙う野党側はレニー・ロブレド副大統領が野党「自由党」などで組織する連合体「イサンバヤン」の統一候補として大統領選に正式に名乗りを上げた。
さらにドゥテルテ政治からの転換を掲げるマニラ市長のイスコ・モレノ(本名フランシスコ・ドマゴソ)氏も大統領選に参戦。貧民街出身でその後俳優としても活躍した異色の経歴から貧困層、女性票の支持で大統領を目指している。
このほかに元国家警察長官のパンフィロ・ラクソン上院議員がティト・ソット上院議長と組んで正副大統領に立候補している。
▲写真 大統領に立候補したフィリピンのレニーロブレド副大統領(右):2021年2021年10月7日、マニラ首都圏 出典:Photo by Jes Aznar/Getty Images
■「土壇場の出馬」という父の前例
最近の世論調査では大統領候補としてトップを走るのは依然としてサラ市長で20%の国民が支持、次いでボンボン・マルコス氏の15%、モレノ市長が13%、パッキャオ氏が12%となり、野党統一候補のレニー・ロブレド副大統領は8%にとどまっている。
こうしたことからダバオ市長再選を目指して市長候補としてすでに届け出を済ませたサラ市長に対して大統領候補としての出馬を求める声は依然として強い。
11月15日の最終的な届け出締め切りまでにすでに登録した政党からの立候補者は交代することが可能なため、ドゥテルテ大統領が総裁を務める与党「PDPラバン」としては、大統領候補として届け出たデラ・ローサ氏がサラ市長と交代する可能性が指摘されている。
ローサ氏も「土壇場でサラ市長が大統領選への出馬を決めた場合には候補を譲る用意がある」としており、最大与党として準備はできていることを明らかにしている。
こうした土壇場での大統領候補の変更は2016年の前回大統領選でサラ市長と同じくダバオ市長だったドゥテルテ氏が大統領選への出馬を最後まで否定していたものの、2015年10月の登録締め切りの後、同年11月の「政党が届け出た候補者の代理」という形で突然出馬表明して登録、大統領選で勝利したという「父親の前例」がある。このためサラ市長に対して与党側には期待感、野党側には警戒感がいずれも根強く残っているのが現状なのだ。
■候補者調整、合従連衡の動きも
こうしたサラ市長の今後の動きをにらみながら、野党側も反ドゥテルテを掲げるレニー・ロブレド副大統領とイスコ・モレノ市長による候補者調整の可能性も取りざたされている。
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