首相就任初の総選挙は鬼門か
Japan In-depth / 2021年10月17日 11時0分
しかし、自民は30議席以上失って過半数を割り込み、現職閣僚が3人も討ち死にするという惨憺たる結果に終わった。
新自由クラブ(当時)との連立で、数合わせは何とかしたものの、中曽根は「田中氏の影響力を排除する」という屈辱的な声明を出すことを余儀なくされた。
ちなみに、この選挙で田中元首相(新潟3区)は22万票を超えるという空前の大量得票だった。
中曽根は61年6月になって、連立解消をめざし、いったんは断念を装って世間の目をくらましながら衆院解散に打って出た。
大平に続く2回目の衆参両院同日選挙で、自民は衆院300議席と大勝、総裁任期延長によって、中曽根は5年間という長期政権を築いた。
解散見送りと信じ込ませる奇策を弄したことから「死んだふり解散」とネーミングされた。
■ 角さんブームも功を奏さず
中曽根に一時は瀕死の打撃を与えたその田中角栄。
学歴がないにもかかわらず総理大臣にのぼりつめたことから、〝今太閤〟などともてはやされて大衆人気を誇った。
政権発足5か月の昭和47年12月、「日本列島改造論」という大風呂敷の公約、就任直後に日中国交正常化を実現した早業の実績を引っ提げ、満を持して解散、総選挙に臨んだ。
▲写真 田中角栄元首相と毛沢東中国主席(当時) 1972年9月27日 出典:Bettman/GettyImages
しかし票は思うように伸びず、自民党は解散前から26減の271議席に後退という予想外の結果に終わった。
政権発足時に高い人気を誇っても、上滑りになりやすく、支持率に頼って安易に解散に進むことのリスクを、この選挙は示した。
田中首相は2年後に〝金脈スキャンダル〟によって辞任、ロッキード事件で逮捕、起訴された。先述の実刑判決を受ける身となり、順風だった前半生とは逆の命運をたどっていく。
■ 不信任、解散時期失し敗北したケースも
内閣不信任を突き付けられ、衆院を解散したものの、総選挙で敗れ退陣したのは宮沢喜一首相だ。
宮沢は平成3年、72歳で長年待望してきた首相の座にを射止めた。当時、緊急の課題だった政治改革への宮沢の姿勢をめぐって小沢一郎らが「消極的だ」と不満を抱いていた。
業を煮やした小沢らのグループが自民党を〝脱党〟、新党を結成し、野党の不信任案に同調し、可決されてしまった。
選挙の結果、自民党は脱党組の議席を埋めるには程遠く、過半数も大きく割り込んだままだった。
あとに登場したのは、日本新党の細川護熙を首相とした非自民7党による連立政権だ。
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