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首相就任初の総選挙は鬼門か

Japan In-depth / 2021年10月17日 11時0分

鳩山は71歳の高齢だったが、戦前からの長い政治キャリアを誇り、戦後は首相就任直前、GHQによって公職追放の憂き目にあった。解除、政権担当準備中に今度は卒中に倒れる不運が襲った。多くの国民が同情を寄せたのは当然だった。





その鳩山が政権に就いたとあって国民の人気はいうやがうえにもたかまり、そのまま選挙結果に反映された結果だった。





余談にわたるが、筆者の大学時代の恩師は、この選挙に三重県の選挙区で右派社会党から出馬して落選したが、この時のことをしばしば回想していた。





「〝鳩山ブーム〟といわれてね。大変な人気だった。鳩山が来たといって、ボクの運動員も見に行ってしまうんだよ。選挙そっちのけで。だれもいなくなって、これには困ったよ」ー。鳩山人気の一端がうかがえる逸話だろう。





在任は約2年と短かったが、日ソ共同宣言に署名、国交回復を実現するという功績を残した。





この宣言こそ、安倍元首相とプーチン・ロシア大統領が2018年のシンガポール会談で「平和条約交渉の基礎とする」ことで合意した、あの宣言だ。





鳩山由紀夫元首相の祖父でもある。





■ ほとんどが新首相にほろ苦い結果 





鳩山一郎のケースは例外というべきだろう。過去の選挙をさかのぼってみると、新首相にとって、ホロ苦い結果がほとんどだった。





上記の例に含めなかったが、発足当初70-80%の高支持率、5年以上の長期政権を全うした小泉純一郎氏でさえ、最初の選挙(2003年)で自民党は10議席以上失っている。





■ 前政権の〝負〟背負う解散、吉か凶か





発足時の世論調査支持率は悪くはないもののことさら高いとは言えず、不人気だった菅前首相への反発という不利を背負って総選挙を戦う岸田新首相にとっても、就任直後の選挙は決して楽な戦いとは言えまい。





首相は就任の記者会見で、勝敗ラインこそ「与党で過半数」と控えめな目標を示したものの、一方で、「岸田にお任せいただけるか、ご判断いただき・・・」と自らの政権の信を問う意図をうかがわせている。





首相就任の高揚感に加え、国民の支持を勝ち取って政権を本格始動させるという自信のあらわれでもあろう。





しかし、意に反して大幅議席減といった厳しい結果が出た場合、本来なら前政権の責任に帰して、やり過ごすことが可能かもしれなかったものを、独り責任を背負い込むことにならないか。





総裁選が激しかっただけに、岸田政権と距離を置く党内勢力、そして対決姿勢をむき出しにしている野党、いずれも手ぐすねひいている。





就任最初の選挙では挫折、それに近い状況に追い込まれた過去の首相の例をみると、油断はできない。岸田首相にとっては、さきの総裁選にも増して厳しい戦いになるだろう。





トップ写真:記者会見に臨む岸田文雄首相(2021年10月14日) 出典:Photo by Eugene Hoshiko - Pool/Getty Images




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