インドネシア、高速鉄道建設に国費投入
Japan In-depth / 2021年10月25日 23時48分
だがすでに約80%の進捗状況といわれる中で「計画の断念」や「大幅な見直し」は不可能とされ、国費投入以外の選択肢は残されていなかったといえる。
こうした事態に対し主要紙「テンポ」は10月14日に「ジョコ・ウィドド大統領は2016年の約束を破った」と厳しく批判した。同月21日にはジャカルタ中心部で学生団体による「ジョコ・ウィドド政権批判」のデモも行われた。
■ 電気自動車でも同じ轍(てつ)の可能性
高速鉄道計画で露呈したインフラ整備計画での過度の中国への依存からジョコ・ウィドド大統領は「教訓」を得たはずであり、2度と同じ「過ち」は繰り返さないものとみられていた。しかしインドネシア政府が現在進めようとしている「電気自動車構想」でも同じ轍を踏みかねない状況となっているのだ。
インドネシア政府から電気自動車の生産・販売については当初日本側に打診があったものの、日本側は「ハイブリッド車をまず導入してから電気自動車」という段階的な導入を提案をしたとされている。
インドネシアがまず日本に打診した背景にはインドネシアの自動車市場で日本車が占める高い比率、日本車は故障が少なく燃費が良く、修理やサービスなどが充実していることなどが国民からの高い支持を得ていることなどがあったという。
そして日本側が「まずハイブリッド車」を提案したのは「価格、充電スタンド整備と維持の難しさ、停電が多いという電気事情」など解決すべき諸問題の存在があったとされる。
こうした日本側の態度に不満を持ったのがルフット・パンジャイタン調整相(海事・投資)で、9月30日に西ジャワ州チカランにある中国の自動車メーカー「五菱(ウーリン)自動車」の組立工場を運輸相、保健相を伴って視察訪問し歓待を受けた。ルフット調整相は地元メディアに対して「中国側の計画を聞いた。可能なら2022年末までにインドネシアで電気自動車の販売を開始する」と表明したのだった。
そして「日本から私は親中国といわれているが日本は技術植民地主義だ」と日本を批判、五菱が用意した電気自動車に試乗したのだった。
これを受ける形で10月6日にジョコ・ウィドド大統領は「2023年から24年の間に電気自動車の生産を開始する」と述べてインドネシアが電気自動車計画を本格的に進めるとの姿勢を明らかにしたのだった。その相手はまたしても中国である。
■ 習近平国家主席との試乗を計画
インドネシア中国高速鉄道会社(KCIC)は10月20日、2022年11月にバリ島で開催されるG20首脳会議(主要20カ国首脳会議)に参加予定の中国の習近平国家を招いてジョコ・ウィドド大統領と高速鉄道に試乗する計画があることを明らかにした。
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