福島県立医科大学、論文数ランキング躍進のわけ
Japan In-depth / 2021年10月28日 7時0分
上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)
「上昌広と福島県浜通り便り」
【まとめ】
・コロナワクチン接種を終えた相馬市民500人から採血し、中和活性を測定した結果を坪倉正治福島県立医科大学教授を中心とした研究チームが発表。
・政府は追加接種の開始を1月中としていたが、12月初旬に繰り上げた。
・福島県立医科大学、論文数で躍進。
福島県が日本のコロナ対策で重要な役割を果たしている。10月13日、相馬市は、コロナワクチン接種を終えた相馬市民500人から採血し、中和活性を測定した結果を発表した。中和活性は、2回目接種から30日未満で2,024AU/mL、30~90日で753 AU/mL、90日以上で106AU/mLと急速に低下していた。
10月22日には、同じく福島県南相馬市からも同様の調査結果が報告された。一連の研究をリードしたのは、坪倉正治・福島県立医科大学教授を中心とした研究チームだ。
相馬市・南相馬市からの報告は、コロナワクチン接種後、時間の経過とともに免疫は低下するというイスラエルなど海外との報告とも一致し、我が国での追加接種の必要性を示した。
内科医で、全国市長会会長を務める立谷秀清・相馬市長は、この結果をもち、政府と交渉した。当初、政府は追加接種の開始を1月中としていたが、12月初旬に繰り上げた。これは重要な方針変更だ。
日本の高齢者のワクチン接種が本格化したのは5月のゴールデンウィーク明けからだ。今冬の流行までには、免疫が低下している人が多いだろう。追加接種をしなければ、どのような事態が生じるか想像に難くない。この議論をする際、日本での数字は説得力がある。相馬市の研究結果を見せつけられ、政府は動かざるを得なかった。
相馬市、南相馬市の人口は3万4,236人(2021年1月31日現在)、5万8,271人(2021年10月1日現在)だ。どうして、このような小規模の自治体が、コロナ対策をリードできたのだろうか。それは、東日本大震災以降、この地域は様々な困難を克服し、さらに政府からも集中的に資金が投下され、多くの人材が育ったからだ。
その象徴的な人材が、相馬市・南相馬市のコロナ研究をリードした坪倉正治・福島県立医科大学教授だ。坪倉教授は、震災直後から、福島県に入り、相馬市、南相馬市、平田村など各地で診療・研究を続けている。坪倉教授は、神戸の私立灘高から東京大学医学部へと進み、震災当時は、私が主宰する東京大学医科学研究所の大学院生だった。
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