野党に「ビッグボス」はいないのか似て非なる日英「二大」政党制 最終回
Japan In-depth / 2021年12月1日 12時39分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・立憲民主党代表選が近づくも、注目度は低い。
・一方、同時期に日ハム監督に就任した新庄氏には、絶大な注目と期待。
・議会制民主主義の健全化のため、野党にも期待できる政治家を。
この原稿が掲載されるのと前後して、立憲民主党の新たな党首が決まる。30日に代表選が予定されていて、本来ならば今後の政局に大きく影響するはずなのだが……
多くの人が同じ思いであると思うが、どうにもこうにも盛り上がらない。
写真)討論会に参加する代表戦の立候補者ら(2021年11月25日)
出典)立憲民主党
端的に言えば、総選挙に先駆けて行われた自民党総裁選挙に立候補した、候補者それぞれの「キャラの濃さ」と比べた時、今の野党には本当に、注目に値する人材が不足しているのだな、と思わざるを得ないのである。
もともとこの選挙は、これまで立憲民主党を率いてきた枝野幸男氏が、先の総選挙で敗北した責任を取って辞意を表明したことによるもの。
本来ならば、枝野氏とともに党を立ち上げ、女性として初めて国会対策委員長になった辻元清美氏が後任に選ばれるのが順当だったのであろうが、なにぶん自身が落選してしまったので、いかんともしがたい。
それ以前に、たとえば蓮舫議員などもいるのだが、あの世代は2010年代前半の民主党政権時代のナガティブなイメージがつきまとっているため、党内でも待望論が聞かれないのだとか。
それにしても、顔ぶれを見ただけで「次の総理」の座を本気で狙うイメージが全くわかないのは、どういうことだろうか。
本シリーズでは英国の議会政治をたびたび引き合いに出しているが、かの国の野党第一党(現在は労働党)は、シャドー・キャビネットを設置している。直訳すれば「影の内閣」だが、かの国の国会中継では、その「閣僚」すなわち野党の大物議員が質問に立つ時など、決まって「陰のXX大臣」という肩書きがテロップにつけられるほどだ。
日本でもかつての民主党、民進党は、政権の座にあった期間を除いて「次の内閣」と称する政策決定機関を設けていたし、かつては社会党が英国のシステムを真似て「社会党シャドーキャビネット」を設けたことがある。
いずれにせよ、英国で伝統的に「政権交代への備え」として機能してきたシステムとは、比べものにならない。
たとえば、2009年の時点で民主党は「次の内閣」を組織していたが、同年9月の総選挙で大勝し、翌月鳩山由紀夫内閣が誕生したわけだが、この時「ネクスト大臣」から本物の内閣の閣僚になったのは、20人中9人にとどまった。もっとも、野党時代の自民党も似たようなもので、安倍総裁を「次の首相」とする自民党シャド-・キャビネットがあったが、後に政権を奪回して第二次安倍内閣が誕生した際、閣僚に選ばれたのは17人中3人にすぎなかった。
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