「真珠湾攻撃」80年〝だまし討ち〟の汚名避ける方法はあった
Japan In-depth / 2021年12月6日 18時0分
2人の戦死から9年後に生まれた姪は、「80年を経てようやく家に帰ることができたのですね」と会うことのなかった2人の伯父の短い人生を思い涙ぐんでいた。
戦艦「オクラホマ」は、映画「ハワイ・マレー沖海戦」で、真珠湾攻撃に向かう空母の予科練出身パイロットが、米艦の影絵をみながら「標的艦」当てゲームに興じる場面に登場する。真珠湾攻撃1周年にあわせて制作された国策映画のとうりだとすれば、オクラホマの命運は早くから定まっていたことになる。
真珠湾攻撃による米軍側の被害は、戦艦5隻など21隻の艦船が転覆、沈没、2400人にのぼる米軍人が開戦劈頭で命を落とした。
■首脳相互訪問で歴史のかなたに・・
戦後、日本国内では、多くの市民の命を一瞬にして奪った広島、長崎への原爆投下が長い期間、アメリカに対して複雑な心境を抱かせる原因になっていた。
一方のアメリカで、これと同列にあるのが「パールハーバー」だ。宣戦布告なしの「だまし討ち」によって多数の将兵の命が奪われたとあって、「リメンバー・パールハーバー」という勝利への誓いの言葉を生んだことはよく知られている。
この遺恨も、完全に消えることは、もちろんないにせよ、時の流れの中で、次第に薄れつつある。
2016年5月、オバマ米大統領(当時)が広島を訪問、被爆者と抱擁して語り合った。
同じ年の暮れ、安倍晋三首相(同)が真珠湾で献花、演説した。敗者日本に対する戦後の米国の寛容な政策への感謝と、日米同盟の重要性を強調する友情に満ちた演説だった。
■学術論争はなお、かまびすしく
真珠湾攻撃が、時間的にはもちろん、政治的、心情的にも、もはや「歴史」になりつつあるとすれば、残る未解決の問題は学術的な論争だろう。この決着は難問だ。
もっとも大きいテーマは、最後通告に等しい日米交渉打ち切り覚書の米国への手交が、真珠湾攻撃後になってしまったことの研究だろう。
あわせて、そもそも、日本はなぜ真珠湾を攻撃したのか、ルーズベルト大統領は、国民を参戦に導くために日本軍の奇襲計画を事前に知りながなら、手をうたなかったのではないかーなどについて、過去も現在も当事者を含め、学者、現代史研究家、ジャーナリストら多くの人たちがさまざまな見解を披歴し、論争はなお衰えることがない。
しかし、あまり議論の対象にはならないものの、具体的かつ大きなナゾが残る。
日本大使館が、覚書のタイプ清書にこだわらず、手書きの文書をアメリカ側に手渡していたら、遅延問題は起きず、「だまし討ち」と非難されることがなかったのではないか。
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