「学術的鎖国」状態からの脱却を「2022年を占う!」医療
Japan In-depth / 2021年12月25日 11時0分
上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)
「上昌広と福島県浜通り便り」
【まとめ】
・今冬コロナが流行していないのは怪我の功名に過ぎず、日本の対策が優れているわけではない。
・コロナ対策において日本は遅れており、非科学的な政策が横行する「学術的鎖国」状態である。
・「ムラ社会の体面」を守るのではなく、広く世界から学んで科学的・合理的な試行錯誤を重ねることが重要。
2021年が暮れようとしている。昨年同様、新型コロナウイルス(以下、コロナ)対策に明け暮れた一年だった。
2022年はどうなるのか。私は、途上国でワクチン接種が進まない限り、コロナの流行は遷延すると考えている。その理由は、最近のオミクロン株の流行をみれば、改めてご説明の必要もないだろう。
では、日本はどうすべきだ。私は、科学的に合理的な対応を採らなければ、日本の地盤沈下は益々進むと考えている。
コロナ対策について、今冬の感染抑制を評価する声もあるが、これは誤解だ。今冬、日本で流行していないのは、夏場にデルタ株が大流行し、さらに現役世代のワクチン接種が遅れたため、免疫が残っているからだ。イスラエルも今冬の流行を抑制しているが、冬場の流行を念頭に、追加接種を急いだイスラエルとは同列に論じられない。日本の「成功」は、怪我の功名に過ぎない。
日本では韓国の感染拡大が大きく報じられるが、これもアジアの状況を正確に把握できていない。冬場に大きな流行を経験していないのは、アジアでは日本だけではない。東、東南、南アジアの多くの国では今冬の感染拡大はない(図1)。取り立てて、日本の対策が優れている訳ではない。
▲図1 1日当たりのコロナ新規感染者数(100万人単位) 出典:John Hopkins University CSSE Covid-19 Data
日本の問題は、「学術的鎖国」状態にあることだ。コロナ流行当初のPCR検査抑制から、最近の空港検疫での抗原検査利用に至るまで非科学的な政策を独善的に進めている。これでは、世界から相手にされない。
図2はOCED加盟国および中国の人口当たりのコロナ論文数の比較だ。
▲図2 OECDと中国の人口10万人あたりのCOVID-19関連論文数 出典:医療ガバナンス研究所
日本のコロナ論文の生産性はラトビアやスロバキアと同レベルだ。世界中が注目したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号について、『ニューイングランド医学誌』や『ランセット』などの一流誌で発表していないのは異様だ。
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