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規律ある弾力的な財政支出 極論の狭間のバランス論

Japan In-depth / 2021年12月29日 0時30分

日本経済の自給率は、エネルギー、食糧等の重要分野において決して高くはない。それら分野の国内価格が海外経済の動向に左右される状況は、これからも続くだろう。また国は、国内の需給をさらに引き締めることを目指して、現在も様々な政策を進めている。そうしたことを考え併せれば、今後ずっと財政赤字を拡大し続けても、いつまでも大丈夫ということにはならないと考えた方が良いのではないか。





将来のどこかで抑制的に財政政策を運営しなくてはならなくなる可能性があるなら、その時の大変さを制御可能な範囲内に収めるという配慮も忘れないのが、今の時代を生きる世代の責任だろう。しかし現状では、こうした長期に亘る観点からの財政バランスの議論はあまり聞かれない。









▲写真 バイデン米大統領就任に反応し値を上げる東京市場の株式ボードを見る投資家(2021-1-21) 出典:Takashi Aoyama / 特派員-Getty Images





■ 財政再建目標は基礎的財政収支だけか?





一方、現在の国の財政再建目標は、2025年度までに基礎的財政収支(Primary Balance、PB)を黒字化するというもので、これは2021年度中に見直されることになっている。PBとは、国債による歳入と国債関連の歳出をそれぞれ除いた国の歳入と歳出のバランスのことだ。これを2020年代に黒字化するためには、財政支出に相当な急ブレーキをかけなくてはならない。コロナ禍で疲弊している日本経済にとって、かつ上述のように眼前で何か大変な問題が起こっている訳ではない状況で、そうした急ブレーキが必要不可欠だと言う主張もまた、なかなか飲み込みにくい。





そもそも、現在の財政赤字はバブル崩壊後の約30年間でここまで拡大してきた。したがって、今一度安定的な状況を取り戻すにしても、同じ位の時間がかかっても無理はない。しかも、その財政赤字拡大の主因である高齢化はこれからも進んでいくのである。これまで以上に長い時間がかかっても不思議ではない。ここでも再び、非常に長い時間の経過の中で財政バランスを評価する必要が生じる。





そうした長い期間において、金融市場が気にする最低限の規律は何だろうか。国債が金融市場で発行される以上、その最低限の規律がずっと維持されないと、どこかで国債の円滑な発行ができなくなる。国債を保有しようとする主体からみれば、その最低限の規律は、資金を調達している国の借金の残高、即ち国債の残高が、将来に亘る返済能力との対比で発散しないということではないだろうか。





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