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日本メディアの対露観、未だ収斂せず

Japan In-depth / 2021年12月29日 11時0分

日本メディアの対露観、未だ収斂せず




宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)





「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2020#52」





2021年12月27-31日





【まとめ】





・米露首脳会談報道、日本メディアの対露観は未だ収斂していない。





・西側が「東西冷戦に勝利した」と思っているのに対し、プーチンはこれぽっちも「負けた」とは思っていない。





・溝は永遠に続く。西側は決してロシアを仲間として受け入れない。





 





遂に2021年最後の原稿となってしまった。今年も毎週お付き合い下さった読者の皆様方に心から御礼申し上げる。振り返ってみれば、この外交安保カレンダーの第一回原稿は2010年10月18日付であり、あれから飽きもせず11年も書き続けたことになる。飽きっぽい筆者にしては、よくまあ続いたものだと、我ながら(?)感心する。





毎週その時々の気になったニュースやイベントについて、半ば直感的に書くことが多い。だから、当たりもあれば、外れもあったと思う。それでも、こうして10年以上、曲がりなりにも毎回世界一周してきたお陰で、ようやく国際政治とはどういうものか、ほんの少し、以前よりは、分かってきたような気がする。勿論、まだまだ、だが。





筆者にとって最もご縁がなかったのがロシアだ。外務省には強力なロシア語の専門家集団がいる。外務省の外にも、これまた強力なロシア東欧の専門家がいる。筆者の出る幕などなかったし、出たいとも思わなかった。それでも、過去数年で北欧・東欧諸国やバルト海諸国を回り、ようやく欧州国際政治の奥深さが少しわかってきた。





前回は米露首脳会談でプーチン大統領がバイデン大統領に提案した「NATO東方不拡大を約束する米ロ二国間条約の草案」について書いたが、今週はロシアに関する主要日刊紙の最近の社説を読み比べてみた。意見は様々だが、考えてみれば、各社にもそれぞれ一家言ある専門家集団がいるのだから、当然といえば当然だろう。









▲写真 年末記者会見に臨むプーチン露大統領(2021年12月23日) 出典:Photo by Mikhail Svetlov/Getty Images





●産経新聞:「日米欧を中核とする民主主義陣営は今こそ、米ソ冷戦時代のようなプーチン政権の「帝国主義的野望」を放棄させるため、破壊力のあるさらなる経済制裁や軍事政策を含め「力の結束強化」に向けた具体策を模索すべき時だ」





●読売新聞:「ゆがんだ大国意識に基づく軍事的威嚇は国際社会の脅威である」「日本は、ロシアの認識が事実に反することを明確に指摘し、北方領土の軍事化などの動きに断固、抗議せねばならない」





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