戦争回避の「よき前例」を(下)「2022年を占う!」国際情勢
Japan In-depth / 2022年1月2日 19時23分
ということで妥結を見ることである。
なぜならば、ロシアとの間に北方領土問題を抱える日本にとっては、こうした解決案こそ「よき前例」となるからだ。
2021年4月には、鳩山由紀夫・元首相が、
「北方領土問題解決のためにも、歴史的背景を考慮して、ロシアによるクリミア併合に理解を示すべきではないか」
などと発言して物議をかもしたことがある。
これはさすがに、国際秩序に対する挑戦とも受け取られかねない暴論で、いかにもあの人らしい、では済まされないと思うが、北方領土問題との関係性に話を絞れば、あながち的外れな議論として切り捨てることもできないと、同時に思うのである。
安倍政権の総括を書かせていただいた際にも述べたが、日米安全保障条約によれば、米軍は日本列島において、
「必要な時期に、必要な場所に、必要なだけの兵力を駐留させることができる」
と規定されている。
ロシアがウクライナのNATO加盟に過敏なほど反対するのも、北方領土の返還交渉が一向に進展しないのも、ロシアにとっては当該地域に米軍基地が造られて「喉元にナイフを突きつけられる」ことなど認められない、という論理である。
さらに言えば、こうしたロシアの防衛政策につけ込んで、NATO加盟をちらつかせつつ、天然資源だけは確保したいという「いいとこ付き」をしてきたウクライナ政府にも、責任の一端がないとは言いがたい。
国際政治が一筋縄で行かないことは百も承知で述べるのだが、ウクライナ問題は決して「地球の裏側の騒ぎ」ではない。
新年を迎えるに際して、私もロシアや東アジアの問題について、もっと勉強せねばならないし、読者の皆様にも関心を深めていただきたいと願うや切である。
(上はこちら。全2回)
トップ写真:ウクライナとの国境にロシアが軍を増強したことを受けて、ロシア軍侵攻に備えて前線に塹壕を設けるウクライナ軍(2021年12月12日 ウクライナ・ゾロテ) 出典:Photo by Brendan Hoffman/Getty Images
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
戦後、日本が「分断国家」にならずに済んだ深い事情 「米軍による占領」と引き換えにソ連が得たもの
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 20時0分
-
黒海艦隊撃破の拠点になったズミイヌイ島(スネークアイランド)奪還の映像をウクライナが公開
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月2日 13時0分
-
「侵攻の引き金」を引いたウクライナの"失策" 対立の根底には2つの「ロシア人像」がある
東洋経済オンライン / 2024年6月25日 20時0分
-
日本と平和条約交渉の条件整わず プーチン氏、北方領土訪問に含み
共同通信 / 2024年6月6日 11時52分
-
アメリカとウクライナの足並みがそろわない理由 バイデンの「非満額回答」にゼレンスキーは大不満
東洋経済オンライン / 2024年6月4日 17時0分
ランキング
-
1河野太郎氏、やから発言釈明 「言葉の選び方は慎重に」
共同通信 / 2024年7月3日 20時0分
-
2潜水艦修理契約で不正か=川崎重工、海自に金品提供疑い―防衛省
時事通信 / 2024年7月3日 19時51分
-
3横浜患者連続死、無期確定へ=東京高検が上告断念
時事通信 / 2024年7月3日 16時28分
-
4知床沖観光船沈没事故で乗客家族らが損害賠償を求め運航会社と桂田精一社長を提訴「亡くなられた家族と残された家族の尊厳の問題」
北海道放送 / 2024年7月3日 18時5分
-
5旧優生保護法違憲判決 「思い伝わり夢のよう」 原告団に歓喜の輪
毎日新聞 / 2024年7月3日 16時52分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)