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どうなる成人式(下)民法改正「18歳成人」に思う その2      

Japan In-depth / 2022年1月14日 0時5分

どうなる成人式(下)民法改正「18歳成人」に思う その2      


林信吾(作家・ジャーナリスト)


林信吾の「西方見聞録」


【まとめ】
・女性は振袖、男性は袴。民族衣装を着る機会が成人式以外にないのが現実。


・成人式参加年齢を18歳に下げると「学校の制服で十分」ともなりかねず、着物業界としては死活問題。


・法的な成人年齢の問題と、成人式に参加できる年齢、成人式のあり方は別個に論じる必要がある。


 


前回述べたように、成人の日という祝日も成人式というイベントも、その歴史は戦後からと、浅いものである。ただ、これも前回述べたように、子供が一人前になったことを祝う儀式それ自体は、古くからあるし、また日本の特有のものでもない。


 たとえば、足首をロープで固定して高所から飛び降りる「バンジージャンプ」は、南太平洋にあるバヌアツ共和国で古来行われていた成人の儀式にルーツが求められるし、アフリカ先住民のマサイ族には、
「一人でライオンを斃したら一人前の大人と認める」
 という風習があるとされる。ただし、こちらは多分に伝説的なもので、
「一人で狩猟ができるようになれば……」
 という話に尾ひれがついたのではないか、と見る向きも多い。


 話を我が国に戻して、武家社会における元服の儀式についても前回少し触れたが、もともとは武士が台頭する以前、奈良時代から行われていたもので、男児が一人前になったことを祝して冠を被せる行事に、その起源が求められる。そもそも元服とは「冠をかぶること」の意味で、古い日本語で成人したばかりの若者を「冠者(かじゃ)」と呼んだのも、同じ語源である。


 武家社会にもこの風習は引き継がれたが、次第に簡略化され、冠ではなく、月代(さかやき)を剃ることで元服の儀式とした。おおむね13〜17歳で迎える儀式だとされているが、特に年齢が定められてはいなかった。


 月代を剃るのは、兜をかぶっても蒸れないように、という実用的な理由があったのだが、現代人の目にはあまり見栄えがよろしくないらしく、TVの時代劇では月代を剃っていない戦国武将が登場したりもするが、その話はさておき。


 江戸時代には、女性も元服の儀式をするようになったが、こちらもやはり、髪型を変えることで大人になった証しとした。男性と異なるのは、おおむね結婚と同時に元服したことだが、具体的な形式は時代や身分によって様々なので、ここでは詳細まで踏み込まない。


 江戸時代にはまた、庶民階級にも元服の儀式が広まったとされるが、それ以前は、米俵を一人で運べるようになったら一人前とか、そうした「通過儀礼」のみ各地に伝わっていた。要するに、独立して生計を立てることができるか否か、という線引きだったのだろう。


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